研究分担者 |
JAMES C. MAR アラバマ大学バーミングハム校, 助教授
AMANO Masahi アラバマ大学バーミングハム校, 助手
KIYONO Hiros アラバマ大学バーミングハム校, 教授
JERRY R. MCG アラバマ大学バーミングハム校, 教授
MARTIN J. MC アラバマ大学バーミングハム校, 教授
久保田 俊夫 茨城大学工学部, 講師 (40143143)
百瀬 義廣 (百瀬 義広) 茨城大学工学部, 教授 (10006314)
亀丸 俊一 茨城大学工学部, 助教授 (60175289)
白石 昌武 茨城大学工学部, 教授 (10091860)
浦尾 亮一 茨城大学工学部, 教授 (10007776)
竹内 学 茨城大学工学部, 教授 (00007775)
MARTIN James C. School of Science, University of Alabama at Birmingham Department of Physics, As
MCGHEE Jerry R. Medical Center, University of Alabama at Birmingham Department of Microbiology,
MCCUTCHEON Martin J. Faculty of Engineering, University of Alabama at Birmingham Department of Biomed
MARTIN James アラバマ大学, バーミングハム校・理学部・理学科, 助教授
MCGHEE Jerry アラバマ大学, バーミングハム校・微生物学部, 教授
MCCUTCEHON M アラバマ大学, バーミングハム校・医用工学科, 教授
MASAHKO Aman アラバマ大学, バーミングハム校・医用工学科, 助手
HIROSHI Kiyo アラバマ大学, バーミングハム校・歯学部, 助教授
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研究概要 |
本国際共同研究により得られた研究成果は,次に示す三項目より成る。 (1)細胞産生蛋白質の可視化計測とその定量化 (2)癌細胞の同定を目指したレーザーラマン散乱法による溶液中微粒子の同定 (3)オプトガルバニックレーザー分光に立脚した,レーザーに照射に依る癌細胞蘇 生説の検証 成果(1)は, 特定蛋白質を生成している細胞の同定及び計数の方法として従来から行われてきた多種動物の赤血球表面抗原に対する抗体一補体による溶血反応を利用したPFC(Plague Forming Cell Assay)法,あるいは抗体に酵素を付加して可視化を図る,いわゆるELISPOT(Enzyme Linked Immunospot Assay)法,等に代わる新しい方法として,抗体に直接蛍光色素を付与し,蛍光顕微鏡の光源により照射する光によって色素を励起し,発光させ,その蛍光をビデオカメラに取り込み,発光面の光強度及び面積より定量的に蛋白質を測定する,いわゆるILISPOT(Immunofluorescence Linked Immunospot Assay)法を開発したものである。主として天野委員の業績に負うものであり,氏のアラバマ大学に於けるPh.D.学位の主要部をなすものである。ELISPOT法に比べ,感度の点で若干及ばぬ傾向があるが,タンパク質の生成量に関する定性かつ定量測定を初めて可能にした画期的な方法として国内外から高い評価を得ている。 抗体に色素を付与する際の,その結合性の良否は,ILISPOT法の感度の良否を左右する。そこで,茨城大学側の分担課題として,ふっそ系のリンカーアームを考案試作し,アラバマ大学側に郵送並びに持参して,共同実験に供した。有機化学を専門とする久保田委員がこの任にあたり、所期の目的に向かって実験進行中である。また,ビデオマイクロスコープ法による新しい光学測定法の開発にかんしては,アラバマ大学側のマーテイン委員及び茨城大学側の亀丸委員が天野委員に協力してその任に当たった。両大学の協力がスムーズに進んだ好例と言えよう。 今後の課題として,蛍光顕微鏡の光源にHe-Cd白色光レーザーを使用したいと考えている。その理由は,微量蛋白質の測定においては種々のバックグラウンド蛍光スペクトルの存在が雑音と成って計測を困難にしているが,レーザーを励起用光源として用いれば,そのスペクトル幅が狭く,蛍光色素の励起効率が高い事から,抗体一色素結合体から放出される蛍光を.的確に同定出来,雑音成分との区別が容易と成って.測定感度の向上が得られるものと期待される事による。 成果(2)は,セルソータ(細胞識別器)の原理に沿って細胞計測の追実験を実施する事に相当するが,市販のセルソーターでは,細胞励起用の波長と放出される蛍光(Auto Fluorescence)の波長との関係に関する物理的なメカニズムに就いては深い考察がなされていない。人体の臓器がその部位によって異なった色を有する事から,それぞれの部位に応じて異なった最適励起波長と放出される蛍光とを有する事が容易に推論されるところから,筆者らのHe-Cd白色光レーザーを用いた場合,三種類の細胞の識別が同時に出来ると期待される。 その準備として、アセトン及びニトロベンゼンによる既知のラマンスペクトルを観測し,計測システムの整備とラマンシフトの算定を行った。今後,被測定資料を細胞に置き換えるだけで,所期の実験に進める準備が出来た。 成果(3)は,本国際共同研究進行途上で派生した新たな研究課題である。アラバマ大学側の知見により提示された癌細胞の発生機構に関する学説によれば,健全細胞が腫瘍遺伝子の発現により活性化される結果,癌化が生ずる。活性化した細胞はエネルギーの高い状態にある。この事は癌細胞が健全細胞より多くの酸素を消費する事からも是認されている。茨城大学側の理工学的センスでは,エネルギーの高い状態は,原子に於ける準安定準位に相当すると考えられる。 オブトガルバニックレーザー分光とは,準安定準位に特定波長のレーザー光を照射する事によって高準位へ励起し,これにより禁制則を解き,光学遷移によって原子を基底状態に戻すような分光を言う。これと同様に,癌細胞に特定波長のレーザー光を照射し,仮想の近接高準位へ励起した後,光学遷移によって基底状態へ戻す事が出来れば癌細胞は健全細胞に蘇生される。この時,照射波長より短い波長の蛍光スペクトルが観測されるはずであるし,物理的には,特定波長によって腫瘍遺伝子の発現を阻止して細胞を自由にしてやる事に対応する。従来のレーザー照射では、腫瘍遺伝子を健全細胞もろともに蒸発気化していた事にする。 短波長蛍光スペクトルを,成果(2)のラマンスペクトル検出と同様の方法で検出すベく,研究継続中である。
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