研究分担者 |
蒋 通 同済大学, 副教授
沈 小白 同済大学, 副教授
杜 堅 同済大学, 教授
章 在 同済大学, 教授
徐 植信 同済大学, 教授
LEELAWAT Chartchai 豊橋技術科学大学, 工学部, 教務職員 (70242922)
河邑 眞 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (30115555)
今野 昭 (紺野 昭) 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (60126935)
JIANG Tong Tongji University . Vice-Professor
SHEN Xiaobai Tongji University . Vice-Professor
ZHANG Zaiyong Tongji University . Professor
XU Zhixin Tongji University . Professor
章 在よん 同済大学, 教授
新納 格 豊橋技術科学大学, 工学部, 教務職員 (70198422)
章 在〓 同済大学, 教授
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研究概要 |
本研究では,不整形地盤,地形の増幅効果に対する不整形性の度合と入射波の周波数成分及び入射波の方向と入射角に対する依存性を検討するために,上海市余山区域の3カ所(山頂,中腹,すそ野)において地震観測を開始した。また補助的手段として常時微動の観測を平成2年7月10日から16日にかけて行い,これらのデータを時間領域と周波数領域で解析を行った。その結果,軟弱層の厚さに比例して振幅が増大し,且つ卓越周期が長くなる事を確認した。 入射波の周波数成分及び入射波の方向と入射角に対する依存性の検討については,強震観測を始めたばかりの為地震記録が得られず,この地域では行っていない。但し,豊橋技術科学大学及び他の中国の地震観測システムで得られた地震記録を収集し,不整形地盤・地形の地震波入射による応答解析手法の開発及びその手法を用いて任意の形状あるいは軸対象の3次元盆地型の不整形地盤の数値解析を行った。 これらの解析結果から以下の結論が得られている。 a)全盆地にわたって振動のピークが現れる共振周波数は盆地の局部深さとは関係せずに同じである。 b)共振周波数に応じる振幅分布は盆地中心部で最大値に達し,盆地の値部にかけて減少していく。 c)共振周波数は2つのパラメーターに依存している。つまり,盆地中心部の深さを層深さとする半無限体の表面の一様水平地盤の共振周波数と盆地の形状比(盆地中心部深さと盆地半幅との比)である。また,外的要因(地震波の入射角度,盆地と周囲地盤のインピーダンス比など)の影響が小さい。この結論から盆地の基本共振周波数の経験式を提案した。 d)盆地の増幅効果は地震波の入射角度に余り影響されず盆地の形状比と盆地と周辺地盤のインピーダンス比に依存する。この結論から盆地中心部の最大増幅ファクターの経験式を提案した。 また,上海市余山区域の観測地点周辺の地盤の弾性波速度,土質,標準貫入試験等を平成2年10月から12月にかけて行った。観測地点の土質特性から,観測地周辺の1次元および2次元の解析モデルを作成し,地下構造・地形を反映した応答解析を行い,実測された記録より得られた結果とを比較して以下のような結論が得られている。 a)丘綾地の傾斜部において1次元と2次元の伝達関数の卓越周波数に差異がみられた。 b)実測結果と理論解析結果の比較では,沖積底地において伝達関数の良好な一致がみられた。 更に,上記のモデルを利用し,代表的な不整形地盤・地形の増幅効果を解析した上で,不整形地盤・地形における構造物の設計用入力地震動の評価手法を提案した。 都市震災の波及を評価するモデルを構築するために,上海市に関するデータを集めるために現地調査を行った。日中両国の過去の震災例を基にして確率論的リスク評価手法によってシステム分析を行い,モデルを構築した。 また,住宅施設の街壊で生した火災による道路遮断の影響を考慮し,道路ネットワーク機能障害評価モデルを提案し,上海市を例にして時系列的な道路の機能障害を評価した。その結果,道路周辺地域の耐震性が道路機能を保持する為に重要である事が判明した。 更に,道路ネットワークを利用した避難モデルを作成した。このモデルを上海市を例にして時系列的な避難状態を解析した結果,都市構造(人口密度,空地面積及び空地配地等)が大きな影響を与える事がわかった。また,上海市の震災危険度は東京都と比較して低いことが判明した。 以上の共同研究成果から本研究では,さらに地震観測と不整形地盤・地形に於ける地震動増幅効果を評価する解析モデルの改善を行い,今までの解析結果を検討した上で地震工学に応用できる解析手法,解析モデルの開発及び不整形地盤・地形の増幅効果の評価手法を提案すること,及び定量的な震災危険度評価を与える階層別震災評価モデル及び避難救援期に於ける避難経路の選定や救援活動に的確な交通経路を与える道路機能障害評価システムモデルを提案し,発災期から避難救援期に至るまでの震災波及の定量的評価を行うことを計画している。
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