研究課題/領域番号 |
02045019
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
佐野 晴洋 滋賀医科大学, 医学部, 学長 (60025533)
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研究分担者 |
邵 世和 中華人民共和国, 吉林医学院, 助教
季 尭華 中華中民共和国, 吉林医学院, 助教
瀬戸 昭 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00025636)
野崎 光洋 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00025545)
LI Raohun Lecturer Jilin Medical College
SHAO Shihe Lecturer Jilin Medical College
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1990年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 日中間学術交流 / 生体代謝調節 / 酸素添加酵素 / カテコ-ル1,2ー二原子酸素添加酵素 / カテコ-ル2,3ー二原子酸素添加酵素 / 成人T細胞白血病 / HTLVーI / 主要組織適合抗原 |
研究概要 |
従来原因不明とされていた難病の多くが、生体代謝異常および免疫異常に起因することが近年の研究により明らかになりつつあるが、代謝調節および免疫異常の詳細については不明な点が多い。本研究は、滋賀医科大学と中国長春中心市医院・吉林医学院との協同研究により、生体代謝および免疫機構の調節とその異常の研究を推進することにより、難病の原因解明の一助とすると同時に日中の学術交流を促進させることを目的とし、下記の学術交流ならびに研究を行った。 1.生体代謝調節および免疫異常に関する日中間の学術交流: 研究分担者の野崎光洋を団長とし、4名の研究協会者(友吉唯夫、森田隆司、木之下正彦、服部隆則、いずれも滋賀医科大学・教授)と共に訪中団を結成し、8月18日から10日間にわたり中国長春市ならびに吉林市を訪れた。その間、中国における生体代謝調節および免疫異常に関する研究の現地調査を行った。また、長春市中心医院ならびに吉林医学院において団員それぞれによる学術講演を行った。特に吉林医学院においては講演終了後、酸化酵素の反応機構とその調節について季尭華(吉林医学院助手)と、検査のための試料収集と疫学的検討について邵世和(吉林医学院助手)とそれぞれ研究討論を行い、さらに、今後の研究協力についても打ち合わせをった。 2.生体代謝調節における酸素の役割: 酸素が生体酸化あるいはエネルギ-代謝において重要な役割を演じていることは周知の通りである。しかし、それ以外にも酸素は酸素添加酵素反応を介して、アミノ酸・脂肪・糖質・核酸・ビタミン・ホルモン・芳香族化合物等生体必須物質の代謝調節、あるいは薬物・毒物等の外来性物質の代謝の上でも、重要な役割を果たしていることが明らかになっている。特に最近、ステロイドホルモン・プロスタグランディンおよび内皮細胞由来血管張因子といわれるNOの合成や、ペプチドホルモンの活性発現など、生理活性物質の合成や活性発現にも酸素添加酵素が関与することが明らかとなり、生体情報伝達機構の点からもにわかに注目を集めている。我々は代表的な酸素添加酵素であるカテコ-ル体を代謝するカテコ-ル1,2ー二原子酸素添加酵素を用い、本酵素の遺伝子のクロ-ニングを行った。また、ある種の緑膿菌から得た本酵素に3種のアイソザイムがあることを明らかにし、そのアイソザイムの発現機構に関する分子生物学的研究を行った。また、カテコ-ル2,3ー二原子酸素添加酵素については本酵素の拮抗阻害剤であるOーニトロフェノ-ルが本酵素の有用な活性部位検出試薬となることを明らかにし、本試薬を用いて、二価鉄を中心とする活性部位と基質の相互作用について、反応速度論的ならびに物理的手段を用いて解析を行った。 3.免疫異常に関する研究: 成中T細胞白血病は日本の西南地方に多発し、HTLVーI感染に起因する悪性血液疾患である。しかしながら、わが国と古くから係わりのある中国では、本症の発症は報告されていないし、ウイルス・キャリア-の指標となる血清抗体が陽性のものも殆ど報告されていない。日本人と中国人との遺伝的素因の違いによる可能性が考えられる。本研究では、遺伝子増幅法(PCR法)によりウイルス・キャリア-の検査法を確立し、家兎を用いた動物実験モデルでその有用性、即ち、従来の血清抗体検査法では検出できなかったウイルス・キャリア-を発見できること、を明らかにした。また、この方法を用いて抗体産生を伴わないウイルス・キャリア-の遺伝因子の解析を試み、最も可能性が高いと考えられた主要組織適合抗原(MHA)との相関を検討した結果、MHAとの相関は認められないことが明らかになった。この方法はアジトチミジンによる感染予防効果や無細胞ウイルス感染の判定にも有用であった。
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