研究分担者 |
KWON Sung Ta 延世大学, 理学部, 助教授
MOON Hi Soo 延世大学, 理学部, 助教授
YU Kang Min 延世大学, 理学部, 副教授
LEE Ha Young 延世大学, 理学部, 教授
石賀 裕明 島根大学, 理学部, 助教授 (80183002)
赤坂 正秀 島根大学, 理学部, 助教授 (20202509)
沢田 順弘 島根大学, 理学部, 助教授 (80196328)
高安 克己 島根大学, 汽水域研究センター, 教授 (00127490)
伊藤 晴明 島根大学, 理学部, 教授 (80032423)
徳岡 隆夫 島根大学, 理学部, 教授 (30025358)
MOON Hi Soon 延世大学, 理学部, 助教授
三宅 康幸 島根大学, 理学部, 助教授 (70200144)
KWAN SungーTa 延世大学, 理学部, 助教授
MOON HiーSoo 延世大学, 理学部, 助教授
YU KangーMin 延世大学, 理学部, 副教授
LEE HaーYong 延世大学, 理学部, 教授
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研究概要 |
本年度は本研究の最終年度に当たることから,過去2年間の研究で十分な検討ができなかった地域を中心に現地調査やサンプル・試料の採集を行った。一部の地域の調査には韓国側研究者の参加のもとに,現地での検討・討論が持たれた。一方,本年度はこれまでの調査で得られた多くのサンプル・試料についての室内における研究も進展し,多くの新しいデータを提供することができた。 中・吉生界についてはヨンオル地域を中心にした調査が行われ,これまでの調査で明らかにされてきたメランジュについての検討がパムチ層を中心に行われ,その形成過程について次のような新たな知見を得ることができた。オクチョン帯の海域が中期ペルム紀から後期ペルム紀にかけて拡大した際,下部ペルム系石灰岩と中・上部ペルム系の珪質岩との混合が行われ,その後ペルム紀末に韓半島の南北両地塊が衝突しこの海盆は封鎖された。この運動に伴って,堆積物は変形を受け収束された。従来,ペルム紀中・後期の変動について,韓半島と西南日本とを関連させて議論された例は少ないが,この時期は西南日本では舞鶴帯の海盆の形成から超丹波帯の形成への過渡期に当たっており,韓半島での構造運動と大きな関連があった事が明かとなった。砂岩の堆積学的検討からこの問題についての解明がなされ,その内容は添付した報告書にまとめられている。 白亜紀-古第三紀火成活動については,当時ユーラシア大陸の縁部に位置していた西南日本との対応関係を明かにすることに重点が置かれた。西南日本山陰側でのこの時期の火成活動は白亜紀よりはむしろ古第三紀のものが卓越しているのに対し,韓半島では白亜紀の活動がより優勢であったと考えられている。西南日本では,南(瀬戸内)から北(山陰)へ活動時期が若くなることが明かにされているが,韓半島ではこのような時代変化は明確にされていない。今回韓半島南東部の代表的な2つの花こう岩体に対してルビジウム-ストロンチウム法による全岩アイソクロン年代とストロンチウム同位体初生値を求めた。その結果従来白亜紀のものと考えられていた両岩体がともに古第三紀のものであることが明らかになった。また,ストロンチウム同位体初生値も低く,岩石化学的にも,年代学的にも,また同位体的にも西南日本の山陰帯のものと極めて類似していることが明確となった。今後,慶尚盆地北西部の花こう岩類について検討することによって,日本海拡大に伴う火成活動の性格がより鮮明にされる可能性がでてきた。また白亜紀火山岩にはアルカリ岩系列のものや高マグネシウム安山岩も含まれることが明かとなり,西南日本を含めて,大陸縁であった当時の火成活動を復元する上で貴重なデータを得ることができた。 新第三紀の火成活動・構造運動についても年代学的研究も含めて検討を行った。その結果,韓半島における新第三紀火成活動は23Ma頃から酸性-中性の火山活動で開始され,その後島弧ソレアイトの活動をはさんで,15Ma頃から強アルカリ岩の活動が開始したことが明かとなった。18Maまでの活動は基本的には山陰地域のものと類似するが,火成活動のピークの時期が若干ずれていること,韓半島では塩基性岩の活動が顕著であること等の違いが認められる。また岩石化学的にもみても韓半島では島弧タイプのものが見られず,この点でも違いが認められる。また韓半島ではアルカリ火山岩の活動が山陰よりやや早い時期に開始したことも明かとなった。 第四紀の火山活動については,西南日本との対応関係を明らかにする観点からアルカリ岩が分布する済州島に焦点を置いて年代学的岩石学的,また岩石化学的な検討が行われた。ここでの火山活動は大きく3期に区分でき,最も新しい火山活動は4万年前に起こったことが明かとなった。第1期のものは最もインコンパチブル元素に富み,第3期のものがそれに続き,第2期の火山岩類で最もそれらに不足している。また,第2期のものにはソレアイト的な性格を持つものも含まれることが明かになった。いずれも岩石化学的にはプレート内部でみられる玄武岩と同様な性質を示し,それらのマグマが始源マントルでの部分溶融によって形成されたことが示唆される。
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