研究分担者 |
OUAB Sarntho カセサート大学, 農学部, 助教授
SURANANT Sub カセサート大学, 農学部, 教授(副学長)
WARUNEE Vara カセサート大学, 食品開発研究所, 部長
THANONG Pukr カセサート大学, 農工学部, 助教授(学部長)
片岡 郁雄 香川大学, 農学部, 助教授 (60135548)
藤目 幸擴 香川大学, 農学部, 教授 (60036051)
岡本 秀俊 香川大学, 農学部, 教授 (80035980)
SARNTHOY Ouab Kasetsart University, fac. Agriculture, Assoc. Professor
SUBHADRABANDHU Suranant Kasetsart University, fac. Agriculture, Professor(Vice-President)
VARANYANOND Warunee Kasetsart University, Institute of Food Research and Product Development, Head o
PUKRUSHPAN Thanong Kasetsart University, Fac. Agro-industry Assoc. Professor(Dean)
SARNTHOY Oua カセサート大学, 農学部, 助教授
SUBHADRABAND スラーナント カセサート大学, 農学部, 助教授
VARANYANOND ワールニー カセサート大学食品開発研究所, 部長
PUKRUSHPAN T カセサート大学, 農工学部, 助教授
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研究概要 |
熱帯産果実は発展途上国にとって経済上重要な輸出商品の一つに数えられているが,栽培技術,害虫防除技術,加工技術が未発達なために,収量や品質が十分に整っておらず,このことが果実の輸出振興における障壁となっている。そこでタイ国における熱帯果実の栽培,害虫防除,果実の品質や加工について総合的に調査研究し,熱帯地方に即した適切な学術的指針を与えることを目的として本研究を実施した。以下に研究成果の概要を述べるが,詳細は別途レポートとして取りまとめる予定である。 1.果実の生育環境と栽培管理 バンコク周辺及び東部タイではドリアン,マンゴスチン,ランブータン,カンキツ類などを,北部タイでは,レイシ,ロンガン,イチゴなどを調査した。果実生産者は規摸が小さく,そのため栽培管理が不徹底であり,果実の外観,品質に相当な格差が認められた。 バンコク周辺のカンキツ栽培の問題点として,花芽分化と着果の不安定,根腐れ病の発生が明らかになった。その改良策として発芽促進法の導入,優良台木の選抜,圃場に投入する有機質の完熟化が必要である。管理状況において園地間の格差が大きく,栽培技術の指導体制改善の必要性が感じられた。チェンマイ周辺の山岳地域では,温暖帯性果樹は低温遭遇時間が少ないため,低温要求量の少ない品種を導入しているが,果実の品質面での改良が必要とされる。 北部タイでおもに栽培されるイチゴは,外観,形状,品質のいずれも,生食用,加工用として見劣りがする。品種の選抜と育種に関する研究を重点に行う必要がある。 タイ国産果実の輸出を積極的に図るためには,品質の規格化,均一化に取り組む必要がある。そのための栽培管理の徹底,選果基準の統一,鮮度保持のための流通の改善が今後の課題と考えられる。 2.害虫の発生及び被害状態 北部タイ地域でロンガン,レイシ,イチゴなど,バンコク周辺及び東部タイでドリアン,マンゴスチンなどの果実の害虫の種類,発生様相,被害の実態について調査した。ミバエ類の存在が輸出上の障壁となっているマンゴスチンに関しては,立木上の果実の被害は,2回の調査でほとんど存在しないことがわかった。これは従来の知見と全く異なる結果であり,今後更に状態を調査する必要があると考えられた。ロンガン及びライチの害虫として,ボクトウガ科,ホソガ科(いずれも鱗翅目)及びカメムシ科(半翅目)に属する3種類が樹幹,枝梢,果実の主要害虫であることが確認された。 各種果樹の開花時に,果樹の花器部を加害する害虫の発生量が多く,結果率や障害果の発生に大きな影響を及ぼしており,これらの害虫の発生と被害の実態の究明が今後の重要課題として存在することがわかった。また,カシューナッツの栽培地においては,イトカメムシ近縁のHelopeltis属2種による被害が重大化しつつあり,その生態と防除技術の研究が急務となっていることが判明した。 3.果実の品質・加工 バンコク周辺,東部及び北部タイで果実の品質・流通・加工を調査した。市場に出荷される果実はその大きさ,形状,熟度が不揃いの上に虫害果,障害果の混在がかなり見られた。収穫後の果実の取扱い,包装の分野も含めてこれらの改善を行う必要がある。 果実の加工において,近代的設備をもつ少数の工場,例えばパイン缶詰工場では生産システム,品質管理,衛生管理などのすべての面で整備が進み,缶詰,果汁,冷凍食品がつくられている。しかし,加工の歴史の浅いタイでは零細企業も多く,設備が不十分な上に熟練技術者が乏しい。研究開発を行う体制も整っておらず,大学での専門家の養成が重要な課題と考えられる。 タイ国産熱帯果実缶詰の化学分析を実施した。官能評価においては缶詰シラップ漬ではパイナップルが最高のAランク。ロンガン,ランブータン,マンゴはBランク。その他はCランクであった。果汁ではリンゴがAランク。パイナップル,マンゴ,タンジュリンはBランクであり,その他はCランクであった。 本研究の一層の発展を図るため,カセサート大学より関係分野の学生を大学院生として3名(果樹園芸学,応用昆虫学,食品加工学)受れ入れ,研究指導を行っている。
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