研究分担者 |
LUN G. MATEO セントラル, ルソン大学農学部, 教授
MIGUEL L. AR セントラル, ルソン大学農学部, 教授
TERESITO G. セントラル, ルソン大学工学部, 教授
CEZAR G. SAL セントラル, ルソン大学, 教授
長友 由隆 宮崎大学, 農学部, 助教授 (80040856)
高木 浩 宮崎大学, 農学部, 教授 (90094078)
玉井 理 宮崎大学, 農学部, 教授 (80040989)
石川 勝美 宮崎大学, 農学部, 助教授 (20117419)
御手洗 正文 宮崎大学, 農学部, 助手 (60094083)
岡田 芳一 宮崎大学, 農学部, 教授 (70040839)
永田 雅輝 宮崎大学, 農学部, 教授 (80041002)
ARAGON Miguel L. Professor, Collage Agriculture, Central Luzon State University
AGUINALDO Teresito G. Professor, Collage of Engineering, Central Luzon State University
SALAS Cezar G. Professor, Central Luzon State University
MATEO Lun G. Professor, Collage Agriculture, Central Luzon State University
ARAGON Migeu セントラルルソン大学, 農学部, 教授
MATEO Lun G. セントラルルソン大学, 農学部, 助教授
AGUINALDO Te セントラルルソン大学, 工学部, 助教授
SALAS Cezal セントラルルソン大学, 副学長
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研究概要 |
フィリピン稲作生産阻害要因の解明のために,農業機械学的観点からは田植,刈り取り,脱穀及び乾燥作業を中心に,また土壌肥料学的観点からは亜鉛欠乏障害水田及びピナツボ火山によるラハ-ル調査を行った。調査地区は,ルソン島ヌエバ エシハ州,パンガシナン州である。現地ではビデオ撮影,土壌・作物・火山噴出堆積物等の採集を実施し,帰国後に詳細な分析を行った。 なお,最終年の平成5年3月5日には3ケ年間の研究成果発表会を宮崎大学で開催した。 本協力研究のテ-マで研究を遂行していたフィリピン側の研究分担者の2名が平成4年度内に博士号を収得し,さらに2名が教授昇格し,大きな成果があった。 1. フィリピン稲作の作業技術に関する農業機械学的調査 フィリピンの稲作に関する調査はこれまでも多くの報告はあるが,それらはただ「人力作業」とするだけの報告が多い。本調査ではその詳細を明らかにする目的から,ビデオを持込み詳細に調査した。 (1)田植各作業の工程及び方法,作業姿勢,動作,時間推移,ラップ等について詳細にビデオ分析した結果,わが国での類似デ-タ(吉岡金市:農業機械化図説)よりも能率的な面もあり,フィリピンの田植技術力は高いことがわかった。1株当りの植え付けラップ時間は,1人植え約0.7秒,シンクロナイズプランティング約0.5秒で,わが国の類似デ-タ(吉岡金市:農業機械化図説)よりも速い。 (2)人力刈取り作業では独特の方法が見られた。用具には鋸鎌を使用している。作業姿勢は中腰,右手に鋸鎌を持ち,左手で稲を刃へ押し曲げて,右手で廻しながら引く要領で切断する。1回毎の刈取りラップ時間は1秒前後でリズムカルな作業である。(3)人力脱穀作業は打落法であった。作業は2人で行い,用具には,PiyukaとHampsanと呼ぶ棒と穀打台を用いていた。1回毎の稲束を巧みにその棒で保持し,約17〜19秒で脱穀していた。(4)脱穀作業では人力の他にスレッシャが多く使用されていた。これは請負業者が存在するためでもある。一般に請負脱穀では5人グル-プが標準である。籾1袋(約50kg)が仕上がりる時間は約1分30秒であった。(5)乾燥作業は天日乾燥で,コンクリ-トの広場や道路上での乾燥がみられた。作業は午前8時から午後5時まで行われ,乾燥時間は午前8時過ぎから午後3時まである。この間に乾燥籾の混合,反転作業が30分毎に行っていた。 2. 亜鉛欠乏障害水田,ピナツボ火山によるラハ-ル堆積物の調査 (1)亜鉛欠乏植物に亜鉛を与えると,直ちに茎のみの成長回復が起こる。亜鉛はIAAKの生理活性発現の機能因子ではないかと推定し,オ-キシンを重要な因子とする生体反応-カルス化に芽を向けて,材料にチガヤを供試して実験した結果,植え付け2週間目頃から,+Zn培地が-Zn培地に比べて,明らかにカルスになりやすく生育も良く,カルス誘導に亜鉛が必要であることを認めた。 (2)1991年ピナツボ火山の噴火で噴出したラハ-ル堆積物の土壌母体としての特性を明らかにするために,一次鉱物組織及びSio_2含量に基づく岩質を調べた。ラハ-ル堆積物は火山灰と軽石からなり,両者の一次鉱物組成はほぼ同一で,重鉱物が19.8〜22.3%,軽鉱物が77.7〜80.2%であった。重鉱物はほとんどが角閃石,磁鉄鉱で,少量のシソ輝石,雲母及び普通輝石であった。軽鉱物は火山ガラスが大部分で斜長石及び石英が少量含まれていた。 ラハ-ル堆積物から抽出された磁鉄鉱の化学組成は,Fe=52.07%,Ti=4.88%,Mn=3470ppm,V=2070ppm,Zn=820ppmであり,Sio_2含量に基づく岩質分類では石英安山岩質に相当することが明らかになった。 3. 研究発表会 平成5年3月5日宮崎大学農学部で,九州大学農学部教授坂井純博士をゲストに招いて,研究成果発表会の国際セミナ-を開催した。発表者は,宮崎大学から7名(古池壽夫教授,高木浩教授,永田雅輝教授,長友由隆助教授,石川勝美助教授,御手洗正文助手,A.L.DOMINGO),セントラル ルソン大学から3名(アラゴン教授,マテオ教授,アギュナルド教授)であった。 4. 大学間協力研究の成果 本研究協力を通して,相手国セントラル ルソン大学の研究分担者に,博士収得者2名(L. G. マテオ, セントラル ルソン大学学位記, 1992/4, A. L. ドミンゴ,研究協力者,鹿児島大学連合大学院学位記, 1993/3)と教授昇格者2名(L. G. マテオ, 1992/12, T. G. アギュナルド, 1992/12)が生まれた。
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