研究分担者 |
王 友功 西安交通大学, 助教授
小林 光一 武蔵工業大学, 工学部, 助教授 (90097171)
LIU Rongsheng Xian Jiaotong University
WANG Yougong Xian Jiaotong University
MARKUS Zahn マサチューセッツ工科大学, 教授
彭 宗仁 西安交通大学, 助教授
劉 ろー生 西安交通大学, 助教授
ZAHN Markus マサチューセッツ工科大学, 教授
李 英 西安交通大学, 講師
劉 〓生 西安交通大学, 講師
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研究概要 |
本年度の共同研究成果は次のようになる。(1)電力ケーブル固体絶縁体中の蓄積電荷分布測定担当:劉茉生助教授(西安交通大学),李英君(本学大学院博士課程)直流電力ケーブルの開発には電荷が蓄積しない絶縁材料の開発が必要である。そこで企業で開発された直流絶縁用の変成高密度ポリエチレンを使用した,直流高電圧用同軸試験ケーブルの電荷蓄積特性を測定した。本研究により次の点の成果が得られた。 (1)基本原理の解析:蓄積電荷分布から発生するパルス弾性波が同軸座標系の半径方向に伝搬するとき,弾性波圧力は半径の平方根に半比例することを,音波伝搬解析から導出した。(2)蓄積電荷量の校正:電荷分布測定は弾性波を圧電素子で電気信号に変換されているので電気信号を電荷分布の単位に校正する必要がある。この電荷量の校正法を検討し確立できた。(3)成果発表:(1)と(2)の成果は論文にまとめられ,Journal of Physics D: Appied Physics に掲載が決まっている。(4)交流電圧印加時の蓄積電荷挙動測定装置の開発:交流電圧の各サイクルの同位相時に高電圧パルスを印加するこにより,その位相における蓄積電荷の挙動を測定するものである。装置の基本開発は出来たので,実際に測定装置を組み立てる段階である。 (2)電気-光学ポッケルス効果による表面電荷分布の測定担当:王友功助教授(西安交通大学),川崎俊之君(本学大学院博士課程)電気-光学ポッケルス校果を応用して,沿面放電による絶縁体表面上の電荷分布を測定する全く新しい技術を開発している。この装置は,He-Neレーザ,偏光ビームスプリッタ,BSO結晶,光位相変調器,高速度CCDカメラ,および画像処理プロセッサから構成されている。この測定技術はGIS(ガス絶縁機器)の沿面放電事故を模擬した放電現象の観察に使用することを目的としている。 (1)測定装置の改良:位置分解能(200μm)と電荷量測定感度(2.0nC/cm^2)の両方を向上するために,薄いBSO結晶(200μm)を使用することと,光位相変調器を導入することをした。(2)交流沿面放電の観察:交流沿面放電の進展と電荷量を測定するために高速度CCDカメラを使用した。この高速度カメラを使用することにより,交流1周期(20msec)に13枚の放電図形を測定できるようになった。(3)微小金属片の沿面放電模擬実験:GISに残留する微小金属片に起因する沿面放電事故が報告されている。この微小金属片と交流沿面放電の関係を実験的に測定した。金属片は電子放出源として働き,放電を進展させる原因となっている。(4)成果発表:(1)と(2)の成果は論文にまとめられ,電気学会の論文誌に掲載された。 (3)液体誘電体中の高感度2次元電界ベクトルの測定技術の開発担当:彭宗仁助教授担当(西安交通大学),田中克英君(本学大学院修士課程)交流-直流変換所の変圧機の絶縁設計は大変に複雑である。変圧器は変圧器油の液体絶縁とプレスボードの固体絶縁で構成されている。このような複合絶縁系の直流電圧が印加されると,設計電界と著しく異なる電界強度分布となり,絶縁破壊を引き起こす恐れがある。そこで,本研究は複合絶縁系の液体絶縁体中の電界ベクトル(大きさと方向)が実際にどのようになっているかを測定した。 (1)複合絶縁系の電界ベクトル測定:複合絶縁系の変圧器絶縁油中の電界ベクトル(大きさと方向)を測定した。この複合絶縁系は平行平板電極の電極面に高分子絶縁フィルムをある部分をオーバラップするように張り付け,その間に絶縁油を満たした構成である。(2)訪問討論:高田が西安交通大学を訪問し,複合絶縁系の変圧器絶縁油中の電界ベクトル(大きさと方向)測定装置と(1)で得られた結果について,彭宗教授と討論した。(3)成果発表:(1)の成果は論文にまとめられ,電気学会の論文誌に投稿中である。 (4)固体/液体誘電体中の蓄積電荷計測技術とそのテキストの作成誘電体に電界,磁界,機械応力,温度などが作用すると,誘電率異方性を生ずる。この異方性を工学計測に応用すると,電界,磁界,機械応力,温度などの分布の測定が出来る。これらの基本原理と応用例をまとめたテキストを作成した。そして,このテキストは中国語に翻訳され,西安交通大学と上海交通大学での特別講義(平成4年12月)に使用した。
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