研究課題/領域番号 |
02045044
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
日比野 省三 中京大学, 社会学部, 教授 (50065215)
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研究分担者 |
CURTIS Terry カリフォルニア州立大学, チコ校 コミュニケーション学部, 教授
丹羽 敏行 中京大学, 社会学部, 教授 (00024266)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
1992年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1991年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1990年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | システム設計 / 文化感応型システム / 価値次元 / 文化仕様 / 組織設計 / 情報システム / 異文化要因 / 価値システム設計 / 組織文化 |
研究概要 |
本研究は、文化感応型システム設計に関する基礎研究である。本研究の究極的目標は、次の2点を開発することである。1。文化とシステム設計との関係を説明する理論を構築する。2。システム設計者に対し、文化感応型システム設計に必要な方法を提供する。 上記の目標を達成するために、国際比較研究の手法を用い、次の5段階で研究を進めた。1。心の構造モデルSCモデルを用い、日米の大学生を対象に調査を実施し、人間行動の違いを明確にした。2。日米の経済関係の新聞(日経、WALL STREET JOURNAL)の内容分析を実施し、日米産業界における文化意識の違いを推定した。3。以上の調査研究から、システム設計に関する次の『文化3軸』を抽出した。第1軸 AMBIGUITY-RATIONALITY第2軸 DEPENDENCE-INDEPENDENCE第3軸 IMPROVEMENT-BREAKTHROUGH4。これらの3軸を基礎に、企業組織の文化と情報システムとの関係を調査研究するために、日米の両国に於いて、同じような町(瀬戸市とチコ市)、同じ規模の中小企業を日米とも3社選択し、アンケート調査と面接調査を実施した。5。上記の調査、面接結果をもとに、文化感応型システム設計法について理論構築を実施した。 本研究の結論は、次の3点である。1。あらゆる組織は、ユニークな差がある。システムは、異文化間を安易に移動出来ない。2。それゆえ、システム移転を可能とする従来のシステム設計法のパラダイムを変える必要がある。3。異文化での仕事をする際に、特にこの文化感応型システム設計を心がける必要がある。最近日本企業では国際化の進展にともない、海外においてシステム設計をする必要が増大している。異文化との摩擦を回避しながら、顧客に満足を提供するにどうするかという問題に答えるものが、この文化感応型システム設計法である。 文化感応型システム設計法の基本概念は、次の5点である。1。システム設計をユーザーの視点から実施する。2。システム設計を目的展開からスタートする。3。着眼目的をベースに、ユーザーの価値次元を検討する。4。価値次元を明確にした後に、仕様を決める。5。このステップで決定された仕様に基づきシステム設計すれば、文化感応型になる。 本研究で出された新しい概念は、『文化仕様』である。従来システムを設計する際には、(1)ユーザーから要求される要求仕様、(2)技術的な面から決定される技術仕様、(3)環境条件から決定される環境仕様などから考虜されてきた。すなわち、工学的な観点から設計仕様が決定され、システムが構築されてきた。しかし、世界がグローバル化するにつれ、システムは単なる工学システムではなく、社会・文化システムと考える必要性がある。この文化仕様の概念は、社会・文化システムを設計可能にする文化感応型システム設計に必要な方法論を提供する手掛かりになる。
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