研究分担者 |
矢沢 伸 群馬大学, 医学部, 講師 (10008386)
谷口 直之 大阪大学, 医学部, 教授 (90002188)
宮城 妙子 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助教授 (50006110)
山川 民夫 東京都臨床医学研究所, 所長 (00009862)
成松 久 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (40129581)
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研究概要 |
β1ー4ガラクトシルトランスフェラ-ゼ遺伝子の5'上流域をベクタ-にクロ-ニングし,ミュ-タント・クロ-ンをF9細胞やHL60細胞にトランスフェクトし,これら癌化細胞での転写調節機構の変異ならびにレチノン酸による分化誘導機構が漸次明らかにされつつある。β1ー6Nーアセチルグルコサミニトランスフェラ-ゼ(β1ー6GlcNAcT)遺伝子のミュ-タントを作り,同酵素発現の有無による糖鎖変化を明らかにした。(1)糖脂質スルフォトランスフェラ-ゼ,(2)GlcNAcTIII,(3)IV,(4)V,(5)α1ー2と(6)α1ー3フコシルトランスフェラ-ゼおよび,(7)GlcNAcー1ーホスホトランスフェラ-ゼの分画,精製は進展しており,精製蛋白質に基づくCDNAクロ-ニングも遠くないと思われる。(1)の酵素は新たに,肝細胞癌患者血清で亢進していることが分った。この亢進はαーフェト蛋白(AFP)量とは無関係であるためAFP陰性の患者に有益である。骨髄腫瘍細胞で(2)の酵素はインク-ロイキン6で抑制されるが(4)は逆に強い誘導を受けた。サイトカンによる糖鎖合成制御の初めての知見である。消化器腺癌で活性が上昇する(5)と(6)の酵素のうち胃癌細胞の(5)は非癌とは基質特異性を異にし,Le^a抗原からLe^b抗原を,またX抗原からY抗原の生合成に働くものを認めた。これらは癌でのみ発現する酵素とみられ,腺癌での異常フユ-ス結合糖鎖発現に連なる可能性がある。シアル酸代謝に関し,マウスメラノ-マ細胞株のうち,転移能が高く,浸潤性の強い株は,対照株に比べ,シアリルトランスフェラ-ゼレベルに差はないがシアリダ-ゼ活性が低い。同様に,src遺伝子によるトランスホ-ム細胞と,この細胞にVーfos遺伝子を導入して高転移性,高浸潤性を獲得した細胞では,後者がシアリダ-ゼレベルが明らかに低下しており,癌細胞の悪性度は表面糖鎖のシアル化の方向にあった。
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