研究分担者 |
森 武貞 大阪大学, 医学部, 教授 (60028496)
笹月 健彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50014121)
宮木 美知子 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学研究室, 研究室長 (20085624)
池内 達郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (90041839)
岩間 毅夫 東京医科歯科大学, 医学部・ポリポージス腸疾患研究センター, 助教授 (70114741)
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研究概要 |
1.家族性大腸ポリポ-シス(以下,FAPと略す)患者およびその家系構成員より末梢血,ポリ-プ,大腸癌等の試料を採取し,班員に配布した(岩間,宇都宮)。末梢血の一部はEBVを用いてリンパ芽球細胞株を樹立し,凍結保存した(池内)。 2.大腸癌3例,腺腫8例とデスモイド腫瘍1例の染色体分析を行なった。腺腫は1個ずつ別々に培養したが,小形の場合は何個かずつまとめて培養した。いずれの場合も,7,13,20番染色体のトリソミ-と20,22番のモノソミ-が特徴的であった(外村,池内)。 3.17pのp53遺伝子について調べたところ,対立遺伝子欠失とエキソン5〜8の点突然変異をともに有する浸潤癌が7例見いだされたので,癌ではp53遺伝子は不活性されていると推測された。一方,大腸癌培養細胞に正常体細胞由来の5,18番染色体をそれぞれ単一に移入したところ,ヌ-ドマウス移植性が消失し,癌形質の抑制が起こることが判明(宮木,押村)。 4.p53遺伝子のヘテロ接合性の消失(LOH)が腺腫で23例中4例(17%),大腸癌で9例中5例(56%)に検出された。また18g上のDCC遺伝子のLOHを検索した結果,腺腫で21例中6例(29%),大腸癌で3例中2例(75%)に認められ,大腸癌発生過程にこれらの遺伝子の関与が示唆された(笹月)。 5.ヌ-ドマウスを使う方法により,FAP患者細胞DNAから得られた癌遺伝子のcDNAクロ-ニングに成功した。一部,DNA塩基配列を決定し,ホモロジ-検索を行なったところ,Bーraf遺伝子と同一であった。cDNAの5′側はBーraf protoーoncogeneの配列とは異なっていたので,再配列が起こっているものと考えられた(湯淺)。 6.マイクロ波(MW)照射によって固定した26の大腸癌の癌遺伝子の発現を調べたところ,6例にHaーras m RNA,7例にKiーras m RNA,12例にCーmyc m RNAが検出され,免疫組織化学的手法の結果と一致した(森)。
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