研究課題/領域番号 |
02151041
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
横路 謙次郎 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (70034618)
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研究分担者 |
丹羽 太貫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (80093293)
杉本 芳一 癌研究所化学療法センター, 研究員 (10179161)
村松 喬 鹿児島大学, 医学部, 教授 (00030891)
谷口 俊一郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60117166)
竹市 雅俊 京都大学, 理学部, 教授 (00025454)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
17,300千円 (直接経費: 17,300千円)
1990年度: 17,300千円 (直接経費: 17,300千円)
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キーワード | 癌転移 / 細胞接着分子 / 転移と糖蛋白質 / 癌遺伝子 |
研究概要 |
本班の目的は癌転移機構の解明に資する、主として分子レベルの基礎的デ-タを提供することにある。細胞表面蛋白について村松は、癌におけるレクチン結合糖鎖抗原を解析し、その特定のものとヒト癌患者での予後の相関を明らかにした。杉本は、血小板凝集能に相関する蛋白として44kdのものを同定し、これに対する抗体を用いてマウス実験系での転移の抑制が可能であることを示した。これら糖鎖抗原は腫瘍細胞が血管内で内皮細胞に接着し、微小転移巣を形成するのに重要である。竹市と永渕は、細胞接着因子カドヘリンとそれに相互作用する因子の関係を調べ、カテニンのリン酸化がカドヘリンの細胞接着作用に大きく影響すること、また細胞接着面でのカドヘリン結合蛋白を同定した。榎本はBalb/c3T3細胞で、vーsrcの導入により著明な転移性の上昇がみられる変異株を分離し、この変異は細胞の運動性を変えることを示した。谷口は、アクチンと転移について検討し、B16黒色腫ではβmアクチン、3Y1細胞ではαアクチンのそれぞれの発現低下が重要であることを示した。さらにvーfosの導入でみられる転移性の上昇に際してカテプシン、トロポミオシン、EF1αなどの細胞骨格関連蛋白の発現上昇をみており、これらの蛋白と転移性の関連という新しい研究の局面を切り開いた。仙波はerbB2遺伝子蛋白のN末からC末までの各々のドメインについて解析し、リン酸化酵素活性の制御機構の分子機構をほぼ明らかにした。現在erbB2のシグナルが核まで伝わるカスケ-ドを明らかにしつつある。横路と丹羽はマウス肉腫細胞株について遺伝子ラベル法で解析し、腫瘍細胞が内的に持っているgenetic instabilityと宿主の微小環境下でのselectionにより、腫瘍のclonal evolutionが起こることを明らかにした。三島は、ヒト悪性黒色腫に対する免疫療法について、積極的に研究を進めている。
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