研究概要 |
CEAファミリ-の機能ならびに発現調節機構を解明することを目的に谷内班員は大腸および肝組織におけるCEA,NCA,BGPI mRNAの発現を検討した。その結果,CEAとNCAが互いに関連した発現を示すのに対し,BGPIは異なる発現態度を示し,とくに肝においてはBGPIのみが発現することを見い出した。またカナダのStanners博士との共同研究で,BGPIトランスフェクト-マを用いて,BGPIが細胞接着因子として機能する上で細胞質内ドメインの存在が必須であることを示した。松岡班員は,白血球の産生するNCA分子種について検討し,cDNAライブラリ-から,これまで知られていないNCAサブファミリ-とも言える4つのクロ-ンを単離した。クロ-ンW272はNCAと同様の構造であったが,他の3クロ-ンはいずれも免疫グロブリン様ドメインを欠いていた。トランスフェクト-マを作製して接着活性を調べたところ,W272はNCAとのみ強い接着活性を示しCEAやW272同志では活性を認めず複雑な分子間の関係が示唆された。中里班員はSV40初期プロモ-タ-制御下のヒトCEAトランスジェニックマウスを作製した。脳,胸腺,肺,脾,肝,腎,結腸において3.0KbのCEA mRNAが検出された。またウェスタンブロット法にて蛋白レベルでの発現も確認された。免疫染色では結腸上皮,気管支上皮の管腔側が染色され,ヒトにおけると同様,細胞極性と関係することが示唆された。日野田班員は,BGPIのC末端側のalternative splicingによって少くとも4つのisoformが存在しうることをRTーPCR法で示した。胆汁のウェスタンブロット法では85と110Kdの2つのBGPI分子種の存在が示唆された。これらの対応関係を明らかにする目的で,BGPIのC末端側を大腸菌ベクタ-に組み込み,組み換え蛋白を作製した。これに対するモノクロ-ナル抗体を作製中である。
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