研究課題/領域番号 |
02151062
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
近藤 宗平 近畿大学, 原子力研究所, 教授 (20028278)
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研究分担者 |
福永 昭広 大阪市立大学, 医学部, 講師 (90167619)
野村 大成 大阪大学, 医学部, 教授 (90089871)
西田 育巧 愛知がん研究センター, 部長 (50107059)
藤堂 剛 大阪大学, 医学部, 助手 (90163948)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1990年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | gl遺伝子 / ショウジョウバエ / copia遺伝子 / 遺伝子発現の異常 / DNA2本鎖切断の修復 / 体細胞組換え / 遺伝子の増幅 / がん進行 |
研究概要 |
<コピア遺伝子の発現異常とがんの進行>___ー:劣性癌遺伝子l(2)glのホモ接合型(gl/gl)のショウジョウバエの幼虫の脳は、100%腫瘍化する。この脳腫組織を正常の成虫の腹空に移植し、継代培養して、コピア遺伝子の発現の変化を調べたところ、コピアmRNAの量は、初代培養で5倍に急増し、その後はゆっくり増えて、20代培養で約10倍に達した。他方、コピア遺伝子のDNAは漸増し、20代で約1.5倍に増幅した。幼虫の発育段階でのコピアmRNAの量的変化は、gl/gl株の方が野生株の10倍以上であった。しかも、gl/gl株にX線を5Gy照射したところ、コピアmRNAの転写量は倍増した。これは、遺伝子発現がX線で誘発されることを発見した最初の報告であると思う。ウレタンはコピア遺伝子の発現を誘発しなかった。 <体細胞の染色体組換えの機構>___ー:がん進行の主因の1つDNA再編成の一環として、体細胞組換えを調べた。劣性多翅毛遺伝子のヘテロ接合型(mwh/+)株の幼虫期に放射線を当てると、染色体の組換えでホモ接合mwh/mwh細胞が生じ、それは、成虫の翅で、正常細胞群中の多翅毛細胞集落となって、高頻度で発生した。この染色体組換えの誘発率は、核分裂中性子の場合、X線の場合の約6倍であった。X線照射によるハエの細胞当りの組換え誘発率は、酵母での誘発率と同じ程度あった。X線誘発の遺伝子変換もハエと酵母で同程度の率で起こった。従って、酵母と同じように、「DNA2本鎖切断の修復の結果、組換えが起こる」、という仮説が支持された。この仮説は、1ー2個の多翅毛細胞集落が多発する事実を、次のようにうまく説明できる。DNA2本鎖切断の「組換え修復エラ-」が原因で、半致死性染色体異常をもつホモ接合細胞(mwh/mwh)が多発するが、それらは分裂不全のため死ぬから、1ー2個のクロ-ンしかいき残らない。
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