研究概要 |
ウイルスおよび細胞の癌遺伝子産物とDNA複製の関連が解析されており,本年度の成果のうち主なものは下記のとおりである。 1.HPV16E7のアミノ酸置換変異蛋白を発現する遺伝子発現系をつくり,細胞DNA複製誘導能と形質転換能を調べ,同時に癌原性がないとされるHPV1,HPV6のE7機能と比較した。その結果,E7の細胞DNA複製誘導能は形質転換にとって重要であるがそれだけでは不十分で,別の機能(未同定)が必要であることが分った。 2.霊長類のp53がマウスp53と同様にSV40DNA複製を阻害することを見つけたので,阻害が複製のどの段階でおきるのか調べた。その結果,p53がT抗原のDNA polymerase αーprimase複合体への結合性を弱めることが分った。 3.cーmyc蛋白が結合する<ori>___ー附近の配列を明らかにしたので,この配列を使ったクロマトグラフィ-により64K(cーmyc),84K,130Kの3種の蛋白を精製した。cーmyc抗体はこれらすべてと結合した。これらの蛋白は細胞の状能により機能分担をするのかもしれない。
|