研究課題/領域番号 |
02151075
|
研究種目 |
がん特別研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
西村 暹 国立がんセンター研究所, 生物学部, 部長 (20076970)
|
研究分担者 |
葛西 宏 国立がんセンター研究所, 生物学部, 室長 (40152615)
山本 順寛 東京大学, 工学部, 助手 (60134475)
越智 崇文 帝京大学, 薬学部, 講師 (40129987)
上野 芳夫 東京理科大学, 薬学部, 教授 (00084418)
長谷川 良平 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (40156328)
|
研究期間 (年度) |
1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
19,000千円 (直接経費: 19,000千円)
1990年度: 19,000千円 (直接経費: 19,000千円)
|
キーワード | 8ーヒドロキシグアニン / 酸素ラジカル / DNA修飾 / エンドヌクレア-ゼ / 化学発がん / FPG遺伝子 / 過酸化脂質 / 変異 |
研究概要 |
われわれはこれまでに放射線や酸素ラジカルを生成する化学発がん物質によってDNA中のグアニン塩基が修飾され、8ーヒドロキシグアニン(8ーOHーGuaが生成することを発見した。しかも8ーOHーGuaはin vivoでも生成すること、又それがDNA複製時に読み間違いを起こすことから8ーOHーGuaの生成が発がんや変異と関連があることが示唆された。又昨年は大腸菌から8ーOHーGuaに特異的に作用する酵素、エンドヌクレア-ゼを発見した。 本年度はこの大腸菌の8ーOHーGua特異エンドヌクレア-ゼによる反応を詳しく解析し、まずDNAから8ーOHーGuaが遊離し、次いで生成したAP部位の3'側および5'側でDNA鎖が切断されること、すなわち本酵素はグリコシラ-ゼ活性とAPエンドヌクレア-ゼ活性の両方を保持していることを明きらかにした。又本酵素は実は以前に同定されていた開環グアニン(Fapy)グリコシラ-ゼと同一のものであることがわかった。さらに類似の酵素がヒト、ラット、マウスなどの種々の臓器(肝、腎、脳)に広く存在することを発見した。 一方、in vivoの実験においては、ラット胃発がんにおける食塩のプロモ-タ-活性は食塩が脂質過酸化を介して胃粘膜上皮細胞に対して作用するのではないかという知見を得た。ハイドロキノン、カフェイン酸などのフエノ-ル系酸化防止剤は、ラット雄の腎がん発生を促進することが示された。さらに肝発がんを示すルテオスカイリンは、ラットに投与すると、まず過酸化脂質を増大させ、次いでDNA中の8ーOHーGuaが増大することが明きらかとなった。 最近、in vitro、in vivoの系で8ーOHーGuaはG→Tトランスバ-ジョンを特異的に誘発すること、又MutMはFPG遺伝子と同一であることが、国外の研究者によって報告され、8ーOHーGuaの発がん、変異における重要性がますます認識されてきたことをつけ加わえたい。
|