研究課題/領域番号 |
02151079
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
長尾 美奈子 国立がんセンター研究所, 発がん研究部, 部長 (40100151)
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研究分担者 |
中村 敏一 九州大学, 理学部, 教授 (00049397)
津田 洋幸 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 助教授 (10163809)
横路 謙次郎 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (70034618)
江角 浩安 国立がんセンター研究所, 生化学部, 部長 (70160364)
石坂 幸人 国立がんセンター研究所, 発がん研究部, 室長 (90184514)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
15,500千円 (直接経費: 15,500千円)
1990年度: 15,500千円 (直接経費: 15,500千円)
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キーワード | 食品中発がん物質ヘテロサイクリックアミン / MeIQによる扁平上皮がん / Haーras活性化G→T変異 / プロテインホスファタ-ゼとがん化 / 放射線間接照射とがん遺伝子 / in vitro自然悪性化 |
研究概要 |
食品中に存在するヘテロサイクリックアミン、IQ、MeIQ、MeIQxで誘発されたラット外耳道ジンバル腺の扁平上皮がんにおけるHaー<ras>___ーの活性化をPCR法及び選択的ハイブリダイゼ-ション法を用いて調べた。何れの化合物で誘発された腫瘍でも、cーHaー<ras>___ーの13番目のコドンの第2字目のG→Tの変化が見られた。MeIQでは特異的にこの変化が起こりやすいことがわかった。更に興味あることに、MeIQ誘発マウス前胃扁平上皮がん7例について、single strand conformational polymorphism(SSCP)及びdirect sequencingを用いてHaー<ras>___ーを解析した結果、変異のあった全てで、コドン13の第2字目がG→Tに変異していることを見出した。以上ラットジンバル腺及びマウス前胃扁平上皮がんでは、60〜70%のがんで<ras>___ーが活性化しており、そのほとんどはHaー<ras>___ーコドン13、第2字目のG→Tが起こるという、即ち動物種及び臓器に無関係に、同一変異が誘発されるという特徴を見出すことができた。MeIQ及びIQで誘発されたラット肝がんでは、セリン・スレオニンホスファタ-ゼ2Aの触媒サブユニットの発現が著しく上昇していることを見出した。このホスファタ-ゼに対する特異的阻害剤であるオカダ酸で、がん遺伝子導入によりトランスホ-ムした細胞を処理すると、正常細胞の形態に戻った。同ホスファタ-ゼは細胞の悪性化に関与していることが示された。放射線照射により誘発された胸腺腫では、Kiー<ras>___ーが活性化している。一方、胸腺摘出後、マウスに放射線を照射し胸腺を戻して誘発された間接胸腺腫では、Kiー<ras>___ーは活性化していないが、それらのDNAはチャイニ-ズハムスタ-細胞をトランスホ-ムする活性を示した。現在このがん遺伝子をクロ-ニングしている。チャイニ-ズハムスタ-胎児(CHE)細胞の培養に伴う自然がん化は多段階で、3qのトリソミ-にNー<ras>___ーの変異が加わると悪性細胞になることを明らかにした。
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