研究分担者 |
岩田 錬 東北大学, サイクロトロンラジオアイソトープセンター, 助手 (60143038)
窪田 和雄 東北大学, 抗酸菌病研究所, 講師 (40161674)
高橋 弘 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助教授 (00091710)
涌井 昭 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (20006076)
松沢 大樹 東北大学, 名誉教授 (10006108)
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研究概要 |
がん診断精度向上のために,Positron Emission Tomography(PET)に用いる陽電子放出核種で標識した六炭糖の合成とその有用性について検討している。先に,N__ーー[ ^<18>F]フルオロアセチルーDーグルコサミン(1__ー)のワンポット迅速化学合成について報告したが,今回このアイソト-プ(1__ー)のがん診断薬剤として極めて有用である手懸りを見い出すことが出来た。担がんマウス(自然発生肝がん)に(1__ー)を生体投与し,経時変化と生体組織分布の検索から,腫瘍集積性が他のどの組織より極めて高いことが判った。VXー2腫瘍移植ウサギでの(1__ー)のPET研究でも,その腫瘍を体計測で明瞭に画像化することに成功した。 (1__ー)の化学合成法をDーマンノサミンとDーガラクトサミンに応用し,それぞれから,N__ーー[ ^<18>F]フルオロアセチルーDーマンノサミンとN__ーー[ ^<18>F]フルオロアセチルーDーガラクトサミンの新規アイソト-プを,いずれも放射化学的収率18%で合成した。これらの有用性については目下検討中である。 これまでのPET研究に用いる陽電子放出核種標識体の多くは,エネルギ-代謝を反映する薬剤であるが,(1__ー)は,膜代謝を反映するこれまでにない診断薬剤である。新しい領域を切り開くことを約束してくれるものと思う。今后,(1__ー)の各種担がん動物での生体内挙動などの実験を積み重ねて,臨庄応用を試み,がん診断の精度向上を目差す。 アイソト-プ化学合成面では,この迅速化学合成法を標識オリゴ糖合成に応用中である。なお陽電子放出核種の一つの[ ^<11>C]核種を用いての標識アミノ糖合成にも平行して着手しており,[ ^<11>C]標識N__ーーアセチルーDーグルコサミンの化学合成にも成功することが出来た。
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