研究概要 |
本研究で得られた実績を、交付申請書に記載した研究計画に沿って以下に要約する。 1.DielsーAlder付加体の還元的逆アルド-ル反応(RRA反応)によって得られたビシクロ化合物より分子内求核反応を利用し、2'位にアミノ基を有する炭素環Cーヌクレオシドの合成を達成した。脱保護および生物活性評価が今後の課題である。 2.ビシクロアミド体の2位に電子吸引性基を導入し、次に水素化ホウ素ナトリウムによる還元的アミド開裂反応を行い,ヌクレオシド前駆体を立体選択的に得た。さらにヘテロ環構築を行い炭素環2',3'ーdidehydroー2',3'ーdideoxythymidine(2)を合成した。このものの抗ウイルス活性を検討したところHSVに対しては活性を示さなかったが、HIVに対してEC_<50>>100μg/mlIC_<50>,13.5μg/mlを示した。 3.2ーピリドン類の光反応によって得られるビシクロアミド(フォトピリドン)から選択的βーラクタム環の開裂反応を用いて強い抗ウイルス活性を示す炭素環オキセタノシンの高立体選択的合成に成功した。本反応は各種置換2ーピリドンを用いれば種々の炭素環オキセタノシン誘導体の合成が可能であり、本系化合物の合成に新たな手法を提供するものと考えている。 4.炭素環オキセタノシンの構造活性相関を明らかにすべく,シクロプロパン環を有する各種核酸塩基を合成した。この過程で塩基部構築には超高圧が必須の反応条件であることを見出した。本系化合物は細胞毒性活性(Hela S_3,L1210)および抗バクテリア活性を示さなかった。また抗ウイルス活性についてはHSV,HIVに対して活性は認められなかったが,BLV(ウシ白血病ウイルス)に対して5〜50μg/mlで45〜75%の抑制活性を確認出来た。
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