研究課題/領域番号 |
02152020
|
研究種目 |
がん特別研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
斉藤 隆 千葉大学, 医学部, 教授 (50205655)
|
研究期間 (年度) |
1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1990年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
|
キーワード | T細胞腫瘍 / T細胞レセプタ-複合体 / CD3ζーη / 増殖阻害 / CD2 / 細胞内Ca^<2+>上昇 / 変異株 |
研究概要 |
T細胞腫瘍の活性化に伴なう増殖阻害の機構を解明するために、CD2を介する刺激に伴う増殖阻外、およびT細胞レセプタ-(TCR)複合体サブタイプと細胞死との関連を調べた。 (1)CD2を介する活性化と増殖阻害:T細胞腫瘍株Jurkatは抗CD3または抗CD2によって活性化されると同時に増殖阻害を受け、死に至る。抗原特異的TCRを遺伝子導入したJurkatでは抗原刺激によって増殖阻害を受けた。TCR/CD3の発現のない変異株では、CD2が高発現であれば活性化され、この活性化にはCD2の閾値のあることが判明した。ところが、TCR・CD3発現のない場合には、CD2を介して活性化はされるが増殖阻害を受けないことから、IL2産生と増殖阻害とが別の経路である事が示された。 (2)TCR複合体サブクラスと増殖阻害:活性化に伴う初期シグナルとTCRや機能の関係を解析するために、活性化したT細胞株で、Ca^<2+>シグナルの上昇しない変異株をFACSを用いて樹立した。これらCa^<2+>ネガティブ株におけるTCRサブクラス(CD3ζーζ又はζーη)、IL2産生、増殖阻害能の相関を調べた。Ca^<2+>反応はTCRサブタイプ、IL2産生、増殖阻害と全く相関せず、Ca^<2+>上昇がなくとも機能を果すことが判明した。唯一の相関はCD3ζーηの発現と増殖阻害能であったことから、ζーηを含むTCR複合体を介するシグナルが増殖阻害へと結びついていると思われる。別の変異株では、Ca^<2+>上昇^ー、PI代謝^+の細胞と、逆にCa^<2+>上昇^+、PI代謝^ーの細胞が存在し、初期活性化シグナルが分離できることを示したと同時に、これらが無い条件下でもT細胞腫瘍は活性化され、増殖阻害を受けることが明らかとなった。今後、このζーη複合体の発現が増殖阻害に重要であることを、η^ー変異株にη遺伝子を導入して調べると同時に、細胞周期依存性の増殖アレストとアポプト-シスによる細胞死との違いの分子機構を明らかにする必要がある。
|