研究課題/領域番号 |
02152035
|
研究種目 |
がん特別研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山下 孝之 東京大学, 医学部(分), 助手 (10166671)
|
研究分担者 |
柴井 博四郎 味の素(株), 中央研究所, 主任研究員
高橋 俊二 東京大学, 医学部(分), 助手 (90221358)
|
研究期間 (年度) |
1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1990年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
|
キーワード | アクチビンA / erythroid differentiation factor(EDF) / マウスフレンド白血病細胞 / HLー60細胞 / THPー1細胞 / インタ-フェロンγ / 活性型ビタミンD / 細胞分化 |
研究概要 |
アクチビンA/Erythroid Differentiation Factor(EDF)はTGFーβ familyに属する蛋白であり、マウスフレンド細胞(MELC)などいくつかの白血病細胞株でヘモグロビン(Hb)合成を誘導し、正常赤芽球系細胞の増殖を促進するまた骨髄で発見されることから、生理的な赤芽球系造血因子と考えられてきた。私どもはMELCを用いて本因子の作用機構を解析した。アクチビンAはMELCにおいてHb合成だけでなく、トロンボキサン(TX)合成能とアセチルコリンエステラ-ゼ(AchE)活性、すなわち巨核球系の形質を誘導した。従来の赤芽球系分化誘導物質DMSOやHMBAにはこの作用はなかった。一方、PMAはTX合成能とAchE活性を誘導したがHb合成は誘導しなかった。したがってアクチビンAの作用は赤芽球・巨核球の二方向の分化を誘導する点できわめてユニ-クである。さらにアクチビンによるHb合成とTX合成能・AchE活性の誘導は細胞密度やPMAにより逆の影響を受けるので、二方向の分化の方向付けは何らかのsecond signalにより制御されることが示唆された。また私どもはヒト骨髄球系細胞株HL60とTHP1を用いて本遺伝子発現機構を解析した。これらの細胞でホルボルエステルPMAはアクチビンA mRNAを誘導した。インタ-フェロン(IFN)ーγや活性型ビタミンD(V.D)はそれ自体では本mRNAを誘導しなかったが、これらの前処理はPMAによる本mRNAの増加を著明に促進した。これらの結果はアクチビンAの発現が単球のマクロファ-ジへの分化と密接に関連しており、この過程においてIFNーγとV.Dが本遺伝子発現の重要な制御因子であることを示唆する。さらに本遺伝子の発現はcycloheximideにより阻害され、エンドトキシンに反応せずinterleukinー1β遺伝子の発現とは異なることを見いだした。以上のようにアクチビンAの産生・作用について重要な知見が見いだされ、本研究の目的は十分達成することができた。
|