研究課題/領域番号 |
02152053
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
淀井 淳司 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80108993)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
1990年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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キーワード | 成人T細胞白血病(ATL) / ATL由来因子(ADF) / thioredoxin / ラジカルスカベンジャ- / NFーκB / ILー2R |
研究概要 |
1.申請者らが遺伝子クロ-ニングしたATL由来因子(ADF)は、大腸菌の還元酵素thioredoxinのヒトhomologueで、1)recombinantADF(rADF)は、NADPH,thioredoxin reductase(TR)と共にinsulin分子を開裂するthioredoxin活性を有する。2)またrADFは、HTLVーI(+)細胞株ATLー2やEBV(+)細胞株3B6に対し増殖促進作用を有する。3)そこで、ADFのthioredoxin様還元活性と生物活性との関連を明らかにするために、rADFの活性部位のCysをSerに置換したmutantADFを作製した。mutantADFは、上記のthioredoxin様還元能をもたず、rADFにみられる種々の生物活性を有しない。1)一方、in vitroにおいてキサンチン/キサンチンオキシダ-ゼにより発生させた活性酸素に対し、rADFをNADPH及びTRと共に作用させると活性酸素が消去された。このことからrADFはラジカルスカベンジャ-様活性を有することが明らかになった。5)さらにrADFは、骨髄単球性白血病細胞U937に対するTNFの細胞障害活性を抑制する作用を有することが明らかになった。6)またrADFは、その還元作用によりDNA結合蛋白であるNFーκBとDNAとの結合を促進する作用をも有することが明らかになり、ADFの生物活性は、細胞内外において、その還元活性を介するものであると考えられる。7)一方、in situ hybridizationによりHTLVーI(+)陽性細胞株ATLー2においてADFのmRNAの発現を認め、8)免疫組織染色法により、ADFは種々の組織にその発現を認め、子宮頚部癌組織ではpapilloma virusの発現と相関することが明かとなった。 2.申請者らは、ILー2R関連抗原を認識するモノクロ-ナル抗体YTAー1を樹立したが、正常ヒト末梢血リンパ球には、YTAー1抗原強陽性細胞群とYTAー1抗原弱陽性細胞群とが認められ、後者はILー2反応性が低いことを明らかにした。したがって、YTAー1抗原の発現とILー2反応性との間にはなんらかの相関があると考えられ、現在YTAー1抗原の遺伝子クロ-ニングを行っている。
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