研究課題/領域番号 |
02152058
|
研究種目 |
がん特別研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋田 充 京都大学, 薬学部, 助教授 (20135594)
|
研究分担者 |
瀬崎 仁 京都大学, 薬学部, 教授 (50025681)
|
研究期間 (年度) |
1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1990年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
|
キーワード | がん化学療法 / 抗がん剤 / タ-ゲティング型抗がん剤 / 単離腫瘍標本 / 潅流実験 |
研究概要 |
がん化学療法においては、がん病巣への到達性が効果を決定する主要因の一つとなっているが、従来の研究においては血流から腫瘍実質への抗がん剤の移行に関する定量的解析はほとんど行われていない。そこで、本研究では、このように抗がん剤のがん病巣移行性に関する情報が少ない原因が、移行に対する評価解析系が確立されていない点にあるという認識に立ち、がん病巣血管潅流実験法を利用して移行性の評価システムを確立した。われわれは昨年度の研究において既に、ラットWalker256がんに対する血管潅流手技を確立し、併せて臓器潅流実験系の瞬時投与あるいは定速注入時に得られる静脈雑流出曲線に対する薬動学的解析法を開発している。そこで本研究ではこれらを利用して、特に高分子物質のがん病巣移行性に関する系統的解析を行った。実験の結果、瞬時投与実験系ではいずれの高分子においても有意ながん病巣への移行は認められず、類洞構造を有している肝臓と比較すれば、腫瘍内毛細血管壁における高分子物質の透過は劣ることが示唆された。しかしながら、定量注入実験系において、組織側への蓄積を追跡すれば高分子のがん病巣移行性が定量的に把握できることが明らかとなり、この実験系を用いた検討より、正電荷を有する高分子が腫瘍組織、特にviable部位に高度に蓄積すること、また中性や負電荷を有する高分子がnecrotic部位に相対的に高濃度に移行することが明らかとなった。そこで、血管に対してviable部位とnecrotic部位が直列あるいは並列に位置するとする2種類のモデルを立て、また移行の駆動力を容積流輸送においてこれらの移行動態に対する解析を行った結果、電荷に基づく組織との相互作用や組織中細胞外液空間の広さが、移行の決定因子になっていることが示唆された。今後こうした知見に基づいて、タ-ゲティング型抗がん剤の開発を進めて行く予定である。
|