研究課題/領域番号 |
02152083
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷口 俊一郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60117166)
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研究分担者 |
貞野 宏之 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (70187160)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1990年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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キーワード | アクチン / 転移 / 悪性度 / 癌 / fosー癌遺伝子 / 細胞骨格 / 浸潤能 |
研究概要 |
1.マウスB16黒色腫に於て転移抑制的に発現するβmアクチンについて (1)βmアクチンcDNAの高転移性細胞B16ーF10への導入発現によって、アクチンストレスファイバ-の回復、浸潤能、転移能の低下を観察してきた。このβmアクチン蛋白質が重合能すなわちアクチンフィラメント形成能を有することを、生化学的実験、免疫染色法等によって示した。このことから、βmアクチンの生物学的機能は細胞骨格構築増強をもたらし、細胞の変形性等に影響を与え得ることが、より直接的に示唆された。 (2)アアクチンの種類は異なるが、ラット線維芽細胞に於いても悪性化に伴いβ、γアクチン以外のαアクチンが発現低下すること、又αアクチンcDNAの形質転換細胞への導入は、細胞悪性形質の低下を誘導することを観察した。 2.fos癌遺伝子について fos導入による転移能増強は、細胞の運動性の昂進を伴う浸潤能の増強が主因であることを示してきた。この高転移性細胞に於いてカテプシンL、低分子型トロポミオシンの発現増強、リソゾ-ムの膜糖蛋白(LGP)elongation factor 1α(EF1α)の発現増強を認め、特にEF1αについては、全翻訳領域を含むcDNAをクロ-ン化し、塩基配列を決定した。尚、fos導入細胞で発現増強した低分子型トロポミオシン、LGP、EF1αは、B16黒色腫細胞に於いて高転移性細胞B16ーF10で発現が強く、又、B16ーF10は低転移性細胞よりもfos癌遺伝子の発現が高かった。従って、fosとこれらの遺伝子の発現制御機構に於ける関連性が興味深い。又、他グル-プによってEFlαがアクチン結合蛋白質として同定されたことにも注目したい。
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