研究課題/領域番号 |
02152092
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
石川 栄治 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (40029939)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1990年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | αーフェトプロテイン / がん性糖鎖 / 肝がん / 肝炎 / 肝硬変 / 酵素免疫測定法 / レクチン / エンザイムイムノアッセイ |
研究概要 |
肝炎、肝硬変を伴わず、αーフェトプロテイン(AFP)の血清中の濃度が正常値の上限か、それを少し越える程度である場合の肝がんの早期診断を可能にするため、がん性糖鎖AFPを測定するシステムを開発した。血清中のAFPとジニトロフェニル(DNP)化抗AFP抗体を反応させ、形成された複合体を抗DNP抗体不溶化固相の上にトラップし、固相を洗浄した後、複合体を固相から溶出し、Lens culinaris agglutinin(レクチン)不溶化固相とβーDーガラクトシダ-ゼ標識抗AFP Fab'を用いて測定した。その結果、レクチンとの結合の強さに応じて、3.5ー100ng/mlの感度で測定できることがわかった。これは、DNP化抗AFP抗体を使わないで、レクチン不溶化固相と酵素標識抗AFP Fab'あるいは抗AFP抗体不溶化固相と酵素標識レクチンを用いて測定する場合に比べて約30倍の高感度化であった。さらに、レクチン・カラムにより分画した後にAFPとしてサンドイッチ法で測定すると、がん性糖鎖AFPの30pg/mlまで測定できることがわかり、健常者では、このレベル以下であった。肝炎、肝硬変症を伴わない、直径1.8ー5.5cmの肝細胞がんのケ-スで、血清中AFP38ー81ng/mlのうち1ー55ng/mlのがん性糖鎖AFPが検出された。 直径1.8cmの肝細胞がん、AFP38ng/mlのケ-スで、がん性糖鎖AFP1ng/ml(検出限界あるいは健常者レベルの少くとも30倍)が検出されたことはAFPを産出するがんのより早期の診断に役立つことを示唆している。また、AFPに限らず、健常者血清中には可及的低濃度で存在する、がん性糖鎖たんぱくの高感度測定が、がんの早期診断に役立つことが予想される。しかし、いくつかの問題点がある。がん性糖鎖AFPは、肝炎、肝硬変でも検出されるだけでなく、肝がんでも検出されないことがあるので、それだけ有用性が限定される。また、レクチンの親和性は概して弱いので、この点の克服が課題である。
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