研究課題/領域番号 |
02152136
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研究種目 |
がん特別研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
月田 承一郎 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (50155347)
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研究分担者 |
月田 早智子 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (00188517)
永渕 昭良 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (80218023)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1990年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
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キーワード | 細胞接着 / ビンキュリン / ラディキシン / エズリン / band4.1 / チロシン / シグナル伝達 |
研究概要 |
細胞間接着の制御機構とシグナル伝達機構を明らかにする目的で単離AJ(adherens junction)を用いた解析を進めた。Radixinは単離AJの裏打ち構造に局在するアクチンフィラメントのbarbedーend capping蛋白質として我々が同定したものである。本年度はradixinのcDNAの単離を試みた。得られたcDNAはezrinと高いホモロジ-を示した。ezrinは、EGFレセプタ-などの基質として注目されている蛋白質で赤血球膜の裏打ち蛋白質band4.1のファミリ-に属する。band4.1蛋白質は、そのN末端側で膜蛋白質glycophorinと結合することが知られている。Radixinは、band4.1蛋白質のglycophorin結合部位を含んでおり、AJにおいてもglycophorin様蛋白質と結合することによりアクチンフィラメントを細胞膜に結合させているものと思われた。次に、カドヘリン結合蛋白質である102kDタンパク質(CAP102)を単離AJより精製し、抗体を作製し、そのcDNAを単離した。得られたcDNAの塩基配列を決定したところ、非常に興味深いことに、この蛋白質がビンキュリンとホモロジ-があることが分かり、カドヘリン分子はCAP102を介してビンキュリンを含む裏打ち構造と強く結合していることが示唆された。最後に、チロシンフォスファタ-ゼの阻害剤であるバナジン酸で組織をあらかじめ還流しておいてから、抗燐酸化チロシン抗体による蛍光抗体染色を行ったところ、AJが見事に染め出されることを見い出した。このことは、成体の細胞で、AJの裏打ち構造が最もチロシン燐酸化活性の高い場所であること、そして、チロシンフォスファタ-ゼ活性もきわめて高いことを示している。AJにおいてこれだけの活性が濃縮している理由を明らかにすることが、接着情報の伝達や接着の制御などの機構を解明する上で重要なポイントとなると思われる。
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