研究分担者 |
石井 孝行 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40045159)
平野 昌繁 大阪市立大学, 文学部, 教授 (00047177)
藤田 崇 大阪工業大学, 工学部, 教授 (60079598)
吉岡 龍馬 京都大学, 防災研究所, 助手 (60027290)
諏訪 浩 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00093253)
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研究概要 |
従来の研究によって明らかにされたように,道路際斜面の災害危険度を正しく評価し,広域道路災害の危険度を予測するためには,過去の被災や地形改変の経緯を考慮することと,道路網の系統的な取り扱いが必要である。本研究では特定路線(府道大津南郷宇治線および宇治木屋線における履歴デ-タベ-スの試作,道路際斜面の崩壊に関する重点的な研究,および道路災害の広域的な危険度評価法の開発をおこなった。 特定路線の履歴デ-タベ-スは京都府田辺土木事務所の協力を得て試作した。道路の直接的な被災資料は得られなかったが,工事台帳と工事設計書を併用することにより,工事の必要を惹起した災害について情報を得ることができた。さらに道路現況調査の結果からもデ-タを収録し,パソコン上にカ-ド型のデ-タベ-スを構築した。このデ-タベ-スから,任意地点の道路状況や過去の履歴を直ちに検索することができる。同時に,戦後日本の経済復興とその後のモ-タリゼ-ションに伴う道路および道路環境の急激な変化を容易に読み取ることができ,我国で起った注目すべき道路災害を歴史的に位置づけることができる。 道路際斜面で起る最も危険な現象は岩盤崩落であるが,1990年5月に九州で発生した大規模岩盤崩壊の発生状況を撮影したビデオおよびスチ-ル映像等を入手し,力学的な解析をおこなった。その結果,伸縮計等で検出された微小変位と映像記録を解析して得られた急激な前駆変形は力学的に一連の動きであると考えられる。 広域道路災害の発生危険度に関する調査は,近年開発の進行に伴って交通需要が急増している一方,地すべりの潜在的危険を抱えている兵庫県三田盆地を対象におこなった。ここでは主として地質的な解析にもとづいて危険度評価をおこなった。また災害危険度評価の一方法として,道路の線型をフラクタル次元を用いて計量化することを試みた。
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