研究分担者 |
松田 時彦 東京大学, 地震研究所, 教授 (70012896)
寒川 旭 地質調査所, 主任研究官
平原 和朗 京都大学, 防災研究所, 助手 (40165197)
山下 輝夫 東京大学, 地震研究所, 助教授 (10114696)
平田 隆幸 筑波大学, 物理工学系, 助手 (20202278)
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研究概要 |
この研究では,特にフィリピン地震(1990年7月16日,M=7.8)を特にとりあげ詳細な調査・研究を行た。フィリピン地震は自然災害研究の上で驚くべき資料を残した。断層は長さ150Km,ずれの量5mにおよぶ大規模な地震であったが,断層沿いの構造物にはほとんど被害を与えず,断層から30ー50Kmも離れたバギオ市やアゴウ市に甚大な被害を与えた。これらの都市の地盤条件は比較的良く,1989年ロマプリエタ地震の被害とは異なり,地盤条件は大きな要因ではなかった。断層,地盤条件,被害が従来の知識から解明できない点があった。この謎を解くために,この研究では,余震観測と強震動解析を行い,副次断層が被災都市直下に存在していたことをつきとめた。フィリピン地震の際に,本断層はそれほどの強震動を引き起こさず,都市直下に現れた副次断層が典型的な直下型の被害を与えたと判断できる。 この研究では,次の3点に注目してフィリピン地震の活断層・震源過程・強震動の再検討も行った。(1)余震分布の再検討,(2)断層と強震動の関連,(3)被害と強震動との関連,(4)活断層分布と強震動との関連。この結果,以下のような成果が得られた。(1)大断層の周辺には数多くの副次断層が分布する可能性が高い。(2)主断層と副次断層では強震動発生様式が異なる可能性が高い。(3)強震動の発生様式は活断層の形状に密接に結びついている可能性が高い。上記の成果は日本の主要活断層の研究にも適用できるものと考えられ,得られた成果は貴重である。
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