研究概要 |
今年度は,狩場山(北海道),陸奥ひうち岳(青森県),田代岳(秋田県),八幡平(秋田・岩手県境),寒風山(秋田県),鳥海山(秋田・山形県境),東駒岳(秋田・宮城・岩手県境),肘折カルデラ(山形県)の各火山の地質調査を行い,それらの火山形成史や岩石学的特徴を明らかにしてきた。これらの火山の中で陸奥ひうち岳以外は従来から第四紀火山とされてきていた。陸奥ひうち岳火山は本研究で,その火山灰の化学的性質から第四紀の噴出物の存在が明らかにされた。また肘折カルデラについてはTL法による年代測定を行い,約4万年前と9万年前の値が求められた。 ところで火山には熱水変質がしばしば伴なわれている。上記火山体の中で,八幡平火山には多数の変質帯が分布することが明らかにされた。そして変質鉱物の組合せから,未変質帯・モンモリロナイト帯・カオリン帯に分帯され,未変質帯やカオリン帯内には地すべり崩積土は存在するが,地すべりの主産や副産は存在せず,モンモリロナイト帯にのみ主産や副産が連発することが明らかとなった。 リゾ-ト原発に伴い,温泉地や火山周辺地域の開発が進められている昨今,地すべりの予測は,火山活動に伴う災害の予測と共に重要であり,今後こうした研究も重要である。
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