研究概要 |
豊浦砂にカオリンを10%程度混入した試料を乾燥側の含水比で色々な密度に締め固めて、単純せん断試験装置の中におさめる。試料(直径10cm×厚さ3cm)中に透水して飽和度が70,80,90になるようにして体積変化を測り,これを崩壊性(Hydraulic collapsibility)の目安とする。次に,通常の繰り返し荷重試験を行って,繰り返し応力比と±3.5%のひずみを生ずるのに必要な繰り返し回数を求める。以上のような実験の結果,繰り返しせん断時の含水比と乾燥密度が同じでも、それ以前に生じた水浸時の体積収縮(collapsibility)が大きい程、繰り返し強度が約10%低下することが示された。次に、十勝沖(1973)と千葉県東方沖地震(1987)の際に液状化によって崩壊した鉄道盛土や宅地造成地におもむき、4箇処からサンプリングを行って,上記のような一連の試験を実施した。その結果,拘束圧が0.5〜1.0kg/cm^2の範囲において,含水比が小さく飽和度が低い不飽和土でコラップスが最大5〜10%の範囲で発生することが確かめられた。又,粘土を数%シルトを30%以上含む現位置の火山灰土等にも5〜10%のコラップスが発生しうることがわかった。これらの土の繰の返し単純せん断試験も実施したが、いずれも完全飽和土に比べて5〜15%程度の動的強度の低下が見られた。以上の成果より,地震前の降雨により鉄道盛土や住宅造成地の地盤が水浸されるとその後に大地震が来た時,大きな被害が発生しうることが示された。
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