研究概要 |
1研究目的 地震予知連の力武常次教授によれば,今後10年間の東海地方の大地震発生確率は約40%と高い.従って,その発生時期と震源の位置の予知は社会的に強く要請されている.東海地方のM6以上の地震は殆ど地震断層を伴い,付近に激しい震害を与えている.また近年丹那,跡津川,山崎等の諸活断層の発掘調査で地震断層は活断層線沿いに繰返しているので,減災には活断層の位置を明確にし,活性度を評価することが最大の急務である.本研究では再活動が予測される活断層の活性度を下記の方法で評価し,活断層再活動の予測法の確立を目的とした. 2研究方法 (1)人工衛星画像,空中写真を立体視し,リニアメントを抽出.(2)同リニアメントの現地調査確認.(3)再活動高確率活断層を2〜3本にしぼり,(4)活性度評価のための断層を横断する測線上に測点を配置,γ線MCAを用いて地下から放射するγ線量を測定した. 3研究成果 今後大地震で再活動の確率が比較的高い活断層は,安居山(富士宮市),丹那(静岡県田方郡函南町)大野(同修善寺町)深溝(愛知県)の4活断層とした.4断層のγ線計測の結果(1)高地下水位時に線量が低下.(2)24時間連続計測で日没・日の出頃線量が低下.(3)各測点のγ線量は経時的変動するが,各測線の各測点間の相対的変化はよく再現された.(4)γ線量レベルは基盤の地質を反映.(5)γ線量レベルは夏高・冬低.自然放射性核種別のγ線量,測定値の時空的変化,活断層の活性度の評価については鋭意検討中であり,次年度内に公表の予定である.深溝断層は基盤岩か沖積層かの違い等により現われ方に時徴がある.しんかい2000による駿河湾断層調査でトラフ陸側斜面の最下部は急斜し,地層は各所でせん断変形が著しい.このことからこの斜面は擾乱帯にあたり,逆断層により地層が激しく変形していると考えられる.せん断面はトラフ軸と斜交し,プレ-トの斜めもぐり込みの影響を示す.
|