研究概要 |
1.噴火災害の事例研究 1990年度は,三宅島の歴史時代の噴火,北海道駒ヶ岳の17世紀以降の噴火,新潟焼山の中世以降の噴火,桜島と諏訪之瀬島の現在継続中の噴火などを調査した.三宅島においては,1940,1962,1983年の噴火堆積物が現在地層としてどのように見られるかを調べた.北海道駒ヶ岳の調査では,1694年の噴火が実在しなかった可能性が高いことが新しくわかった。新潟火山では,1361年と1773年の噴火堆積物の特徴と,その間に挟まれるレスの厚さに注目した研究を行った.桜島と諏訪之瀬島において現在継続中の噴火では,ロ-ム(レス)とは明らかに異なる性質を有する火山砂が堆積していることを確認した.日本の火山ではないが,中国と北朝鮮の国境にある長白山(白頭山)の10世紀の噴火と災害についても論文をまとめた.また,過去8万年の噴火史の中でみた阿蘇火山1989年噴火の位置づけを議論し,浅間火山と草津白根火山の火口地形と最近の噴火の関係も明らかにした. 2.発生頻度の計測 噴火の発生頻度を計測するときに,一回の噴火をどう定義するかという重要な問題がある.ごく最近の噴火を除けば,過去の噴火は残された堆積物から研究されるから,堆積物から一回の噴火が認定できなければならない.この目的達成のために,噴火堆積物と噴火堆積物の間に挟まれるレスに注目することが望ましいことがわかった.1990年度は噴火の事例研究に多くの時間をさいたから,発生頻度の計測成果はあまりない.10km^3以上のマグマを一気に噴出する巨大噴火の発生頻度を,過去13万年間の日本を対象として計測したのみである。
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