研究課題/領域番号 |
02202137
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
舩橋 晴俊 法政大学, 社会学部, 教授 (30130751)
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研究分担者 |
長谷川 公一 東北大学, 教養部, 助教授 (00164814)
梶田 孝道 津田塾大学, 学芸学部, 助教授 (10133357)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1990年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 社会的ジレンマ / 合理性の背理 / 構造化された選択肢 / 受益圏 / 受苦圏 / 隔離依存型生態系 / むつ小川原開発 / 核燃料サイクル |
研究概要 |
本年度、当班は、「環境悪化のメカニズムとしての社会的ジレンマ」について、引き続き理論的検討を展開するとともに、事例研究として原子力関係諸施設の建設問題について調査を行ない、ジレンマ論の観点から、今日の開発問題における利害対立の構造と合意形成の困難さの根拠について社会学的な分析を試みた。今日の環境問題の困難さの根拠は、第一に、ミクロ的には、社会的ジレンマのメカニズムを通して、「通常の個人」の日常的行為が環境破壊を促進していること、第二に、マクロ的な社会構造、が「ワンウェイ消費型」「隔離依存型」生態系という特徴を持つ点にある。 社会的ジレンマ現象の論理的核心は集合財をめぐる「合理性の背理」である。これは、原型としての「共有地モデル」において単純な姿で示されるが、より複雑な姿を示す諸段階として、「市場による加速」を特徴とする「捕鯨モデル」、「構造化された選択肢」を特徴とする「自動車排ガスモデル」、「受益圏と受苦圏の分離」を特徴とする「新幹線公害モデル」を提示できる。 青森県むつ小川原地区における核燃サイクル施設建設問題を代表事例として検討してみると、今日の原子力関連諸施設の建設問題をめぐる地域紛争は、一定のマクロ的な生態学的構造により、社会的合意形成が困難化されている。それは、物質循環については「ワンウェイ消費型」の構造であり、「中心部」(大都市部や先進社会)と「周辺部」(農村部や第三世界)の空間的関係については、「隔離依存型」の構造である。その反対概念は「循環再生型」「自給型」社会である。「隔離依存型」生態系構造のもとで、社会的ジレンマが加速され、ワンウェイ消費型の社会となっているところに、原子力政策の推進の根拠と、それをめぐる社会的合意形成の困難さの根拠がある。
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