研究課題/領域番号 |
02202218
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
北村 喜宣 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (20214819)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1990年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | リスク / 知る権利 / 警告義務 / 規制理論 / アメリカ法 |
研究概要 |
アメリカ合衆国においては、最近、市民が有害化学物質に知らずのうちに暴露している状況に対処する立法が多く制定されている。その中に、しばしば含まれるのが、「知る権利条項」「警告条項」と呼ばれるものである。そこでは、潜在的暴露に対して、暴露させる側から、リスク情報を提供することが義務づれられている。この根底にある思想は、特定の物質への暴露の危険を冒すかどうかに関する個人の選択は、十分に情報が与えられた、自主的なものでなければならないというものである。これは、人為起源リスク物質に対して、より早い段階で対応できる仕組みといえる。また、この方法は、行政によるリスク決定から、市民によるリスク選択に発想を切り替えている。行政が企業を垂直的に規制して、市民は、反射的に規制の恩恵を享受するというシステムではなくなっている。行政は、リスク物質排出者と潜在的被害者との対話(リスク・コミュニケ-ション)を促進する第三者的ファシリテイタ-に、その役割を変えることになる。一定の基準を設定した画一的規制から、結果的に、個人によって暴露程度が異なる規制が実現できるのである。高度の不確実性に対する行政の対応の限界が表れているとみることもできる。企業は、一警告していれば行政法上の責任は追求されないために、過剰警告のおそれがないではない。また、企業秘密との調整やリスク情報の質の確保も問題になる。今後は、この制度が、実際にどのように機能しているのか、わが国において、こうした制度の導入可能性はあるのか、について、文献研究と実態調査をもとにして、さらに検討を加えたい。
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