研究概要 |
有機塩素化合物による地下水の汚染は現在の日本の重要な環境問題の一つである。その解決法の一つとして,有機塩素化合物を汚染現場にて微生物により分解し,汚染地下水を浄化する方法が考えられる。これに資するために、本研究では、有機塩素化合物として塩化フエノ-ル類を取り上げ、これらの生物分解に関与する微生物を単離・培養し,それらの活性特性の把握を試みる。 本年度は,処理場返送汚泥およびゴルフ場最終調整地底質を種として、パラクロルフェノ-ルおよび2,4ージクロルフェノ-ルの分解能を有する細菌の集積培養を試みた。その結果,96時間で10mg/lのパラクロルフェノ-ルを,また2.4mg/lの2.4ージクロルフェノ-ルを分解しうる細菌群を処理場返送汚泥より得た。ゴルフ場最終調整地底質からは、72時間で9.5mg/lのパラクロルフェノ-ルを、また60時間で1.4mg/lの2.4ージクロルフェノ-ルを分解しうる細菌群を得た。これらの細菌群は、パラクロルフェノ-ルおよび2.4ージクロルフェノ-ルを含むグルコ-ス培地で大量培養することが可能である。また,起源の異なる両細菌群はこれらクロルフェノ-ル類の除去パタ-ンに関して、グルコ-ス基質の存在の有無により異なる挙動を示す。すなわち,処理場からの細菌群はグルコ-ス存在下でパラクロルフェノ-ルを直ぐに除去し始めるが,グルコ-スが存在しない場合はパラクロルフェノ-ルの除去に遅れが生ずる。一方、ゴルフ場よりの微生物群はグルコ-スの存在の有無にかかわらず直ぐにパラクロルフェノ-ルの除去を開始する。 今後、ゴルフ場からの細菌群より、これらクロルフェノ-ルの分解能を有する細菌の半離を行い,その活性特性の把握を試みる。
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