研究課題/領域番号 |
02202242
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
大森 保 琉球大学, 理学部, 助教授 (00045022)
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研究分担者 |
棚原 朗 琉球大学, 理学部, 助手 (00217100)
渡久山 章 琉球大学, 理学部, 助教授 (50045001)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1990年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 二酸化炭素濃度 / サンゴ礁 / 石灰化速度 / 炭酸塩 / 光合成 |
研究概要 |
二酸化炭素変動に対するサンゴ礁の寄与について評価するためには、大気および海水中の二酸化炭素変動と石灰化過程を同時に平行してモニタリングし、二酸化炭素吸収過程を解明することが重要である。中緯度亜熱帯気候にある琉球列島のサンゴ礁で二酸化炭素を含む炭酸物質の動態変動の観測をおこなった。 (1)海水中の炭酸物質の日変化と季節変化 海水中の炭酸物質(炭酸アルカリ度、二酸化炭素分圧、全炭酸)、pH、溶存酸素濃度は昼夜による時間変動が顕著である。溶存酸素濃度の極大は午後4時頃、極小は午前5時頃であった。これとは逆に海水中の二酸炭素分圧(PC02)は夜明け前に極大値、夕方に極小値を示しており、〈光合成ー呼吸〉過程が主要なプロセスである。他方、炭酸カルシウムの〈生成ー溶解〉過程と直接に関係する海水中の炭酸アルカリ度は昼間に溶存酸素の増加に伴って減少しており、炭酸塩の生成過程が光合成と連動している。海水中の二酸化炭素分圧は夜に高く、日中に低い、また季節的には夏に高く、冬に低い傾向にある。 (2)サンゴ礁生物による石灰化速度の見積り 炭酸塩生成過程では1molのCaCO_3生成について炭酸アルカリ度は2当量が減少するが、光合成ー呼吸過程では変化しない。海流、波浪や地下水の影響の無い単純な系であるサンゴ飼育水槽中の海水について得られた炭酸アルカリ度の減少速度は9月で約0.2meq./1/day、12月では0.07meq/1/dayであった。これは炭酸カルシウムの生成速度に換算するとそれぞれ10mgCaCO_3/1/day(3.6gCaCO_3/1/year)、3.3mgCaCO_3/1/day(1.2gCaCO_3/1/year)である。水槽のサイズ(4mx2mx0.5m)を考慮して、サンゴの被履度が70%のとき生成速度は1.8KgCaCO_3/m^2/yearと0.6KgCaCO_3/m^2/yearとなった。海水中の二酸化炭素濃度は、全体的に大気中の二酸化炭濃度よりも低い傾向を示し、220ー450ppmとなった。大気中の濃度350ppmよりも高い値を示すのは午前4ー8時だけであり、他のの時間帯ではそれよりも低い値となり、全体的に大気から海水への吸収傾向にあることが示唆される。今後、実際に大気と海水中の二酸化炭素濃度を測定し、石灰化との関係を解明したい。
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