研究課題/領域番号 |
02202247
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
井上 雅雄 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (60064565)
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研究分担者 |
宮越 稔 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助手 (90200146)
栗原 孝行 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (20064595)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | マウス生殖細胞 / 突然変異 / メチルニトロソウレア / DNA塩基損傷 |
研究概要 |
本年度は、アルキル化変異原のうち、処理時、後期精原細胞あるいは前期精母細胞由来の仔マウス(F1)に極めて高い突然変異を誘発するメチルニトロソウレア(MNU)に焦点をしぼり、マウス生殖細胞のDNA塩基損傷と修復能をin vitroとin vivoで検出し、マウスにおけるMNUの遺伝毒性の機構を解明することを試みた。 雄マウス(C3H/He,10週令)の精巣中の生殖細胞をBSA密度勾配溶液で分別し、分別細胞から抽出したタンパク質をメチル化塩基を含む基質DNAと反応させた後、基質DNA中のメチル化塩基をHPLCを用いて検出し、修復酵素活性を検索した。その結果、修復活性は、各細胞群ともタンパク質量に比例して増加したが、損傷塩基の種類別では、N3ーmethyl adenine(N3ーMA)に対して最も高く、次いでN7ーmethyl guanine(N7ーMG)で,06ーmethyl guanine(06ーMG)は最も低かった。生殖細胞群別では、3種のメチル化塩基とも全細胞群並びに前期精原細胞+精母細胞群が高く、MNUの遺伝毒性の標的生殖細胞を含む後期精原細胞+前期精子細胞群は後期精子細胞+精子群と同様に低活性値を示した。一方、精巣に ^3HーMNUを投与した後、生殖細胞を分別し、分別細胞からDNAを抽出し、抽出DNA中のメチル化塩基を定量した。その結果、3種のメチル化塩基の生成量はそれぞれ異なるが、分別細胞群間では差が少なかった。MNU処理後24時間の修復能は、N7ーMGとN3ーMAに対しては、その速度が異なるものの、各細胞群間の差がなかった。ところが、06ーMGに対しては、前期精原細胞+精母精原細胞+精母細胞群が最も高く、次いで後期精子細胞群+標的細胞を含む後期精原細胞+前期精子細胞群の修復能は最も低かった。 これらの結果から、MNUにより遺伝毒性の標的細胞である後期精原細胞または前期精母細胞は、突然変異と密接に関連している塩基損傷06ーMGの修復能が低いため、F1に高率に突然変異を誘発することが考えられる。
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