研究課題/領域番号 |
02202254
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
薬師寺 積 大阪府立公衆衛生研究所, 総務部, 主任研究員 (30175640)
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研究分担者 |
小西 良昌 大阪府立公衆衛生研究所, 食品衛生部, 研究員 (40211239)
吉田 精作 大阪府立公衆衛生研究所, 食品衛生部, 主任研究員 (40159231)
中村 彰夫 大阪府立公衆衛生研究所, 食品衛生部, 主任研究員 (90164277)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1990年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | クロルデン / 有機塩素系化合物 / 有機リン系農薬 / 摂取量 / 白アリ / 汚染 / 食品への吸着 / 母乳 |
研究概要 |
白アリ防除家屋では、食品から摂取するクロルデン(CHL)量が非防除家屋に比べてはるかに高く、その成分組成がテクニカルCHLに類似した特徴的なパタ-ンを呈していたことから、非防除家庭においては主汚染源が魚介類であるのに対して、防除家屋では別の汚染経路が存在することが推測された。そこで、防除家屋を対象にしたヒト汚染経路の調査を行なうとともに、防除家屋と非防除家屋居住者のCHL汚染の差を母乳を指標にして調査した。また、CHLの代替品についても母乳中の残留分析を行なった。 1.【CHLのコメへの吸着】防除家屋の流し台の下に精白米を防置し、CHL吸着量を測定した結果、防除後1年の1家屋から高濃度CHLを検出した。推定計算によると、この家庭の摂取食品中のCHL量は、ほぼ全量がコメに吸着したCHLに起因していた。 2.【空気中CHLの測定】流し台の下を中心に、防除家屋の空気汚染濃度を測定した。その結果、防除後の年数が同じでも空気中CHL濃度には大きな差異が認められ、空気汚染レベルは家屋の環境条件によって幅広く変動することが予想された。コメへの吸着量の高かった家屋は、流し下の空気中濃度も最高値であった。一方、CHLを散布していない家屋からは、CHLは検出されなかった。 3.【炊飯によるCHLの消失】コメへのCHL吸着量が高かった家屋に再度精白米を放置しCHLを吸着させた後、炊飯による消失試験を行なった。その結果、研ぎすなわち水洗いによって50%近く減少し、炊くことによってさらに14%減少し、最終的には約64%のCHLが消失した。 4.【母乳中CHLの測定】防除家屋居住者の母乳汚染レベルは非防除群に比べ有意に高かった。特に、防除後4〜6年までの上昇が顕着で、高い例では対照の5〜6倍にまで上昇していた。しかし、6年を過ぎると減少し始め、防除後6.1年以上(平均12.2年)の群では、平均値は対照と同レベルであった。 5.【まとめ】床下中心に散布されたCHLが空気汚染を通して、流しの下や床下収納庫に置かれている精白米に吸着することがわかり、これまで予想しなかった経路がヒト汚染に関与することがわかった。ヒト汚染源としての経路別寄与率を推定計算したところ、防除家屋の中にはコメからの経口的摂取が、経肺摂取量にほぼ匹敵する場合があった。さらに、1987年以降CHLの代替品として使用されている有機リン系殺虫剤の分析方法を確立し、19防除家屋居住者(内17例は1987年以前の防除)の母乳について、クロルピリホスとピリダフェンチオンの分析を行なったが、いずれも検出限界値(乳脂肪当り0.025ppm)以下であった。
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