研究概要 |
経済的な海水ウラン採取プロセスの確立をめざして,(1)係留固定層ー海流利用システム、(2)中空繊維固定層ーポンプ利用システムという二つのシステムの完成を目的として、両者を比較しつつ、海洋での試験を中心に開発研究を行った。(i)係留式海流利用システムの開発:吸着床を吊るすロ-プをウンイチで制御して吸着床を傾斜させて吸着効率を向上させる方式を考えた。実機の1/10縮尺模型を海上において2ノットの速さで曳航し、ウラン吸着実験を行い、吸着シミュレ-ションを実施するために必要なデ-タを得た。(ii)繊維状吸着剤の係留式採取法への適用:吸着かご内に糸まり状の繊維を入れて吸着する係留式では、海水が糸まり体内を通過することによりウランが吸着されるので、充填状態と吸着効率の関係を最適化した。細い繊維を用いるときには、繊維を疎に充填する方がよく、太い繊維でも密に充填すれば、細い繊維とほぼ同等の吸着量が得られることなどが明らかになった。(iii)球状吸着剤の係留式採取法への適用:樹脂をサランネットの袋に充填し,吸着床ユニットに固定した.30時間曳航し.50時間係留した場合と60時間曳航し,930時間係留した場合,それぞれ海水ウラン吸着量は0.23mg/g,1.32mg/gとなる,予想以上に高いウラン吸着量が認められた.(iv)中空繊維充填装置ポンプ利用システムの開発:海水の前処理としてプリ-ツ型フィルタ-を用いて濾過を行い,その効果を調べた.付着物質はおもに無機性の物質であり,海水中に粒子として存在する懸濁物が付着したと考えられる.このうち鉄分が60%を占め,汚れの指標となった.(v)採取システムの設計と評価:係留固定層ー海流利用システム、流動層ー海流利用システム、充填層ー海流利用システムについて提案されたシステムとその設計、計算法にもとづいて比較し,コスト計算を行った。
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