研究概要 |
本研究では,「地球規模の環境汚染」問題がクロ-ズアップされる中で,エネルギ-源の多様化,エネルギ-効率の大幅改善,エネルギ-のクリ-ン化技術の開発を目的に,石油に代る有力なエネルギ-資源として,石炭を始めとする重質炭素資源,バイオマス,地熱,海水ウランに注目し,それらを有効に回収・変換する新しい技術の開発に取り組んでいる。本年度は以下に示す成果が得られた。 石炭の総合的利用を目指した複合的変換プロセスの開発班では,(1)マイルドな条件下で石炭の高効率変換を達成する新しい熱分解・超臨界抽出法,(2)溶媒,反応系の分子設計に基く新石炭解重合法の開発,(3)石炭高効率ガス化法,(4)高温ガス精製技術に大きな進展がみられた。 重質炭素資源の高効率変換のための触媒開発班では,熱分解,超臨界抽出等の第1段分解プロセスと,ガス化,液化,改質技術を組み合せた重質炭素資源の複合的変換プロセスの開発を目的に,第1段転換反応を促進,制御する触媒,環境問題に対処できる触媒等が開発された。 リグノセルロ-ス資源の生物燃料への変換班では,リグノセルロ-スからの微生物によるエタノ-ル生産プロセスの開発を目ざして,リグノセルロ-ス発酵原料化への前処理法の確立と,セルロ-スやキシランを原料とする直接エタノ-ル発酵菌の育種に顕著な進展がみられた。 能動的地熱抽出システムの開発班では,天然の亀裂や破砕帯を能動的手法により熱交換層に変化させて地熱エネルギ-の効率的利用を促進するために,亀裂・破砕帯の高度探査法,亀裂進展評価法,水による熱抽出特性評価,地熱抽出システムの寿命評価等の開発が大きく進展した。 海水ウランの効率的吸着採取プロセスの開発班では,前期3年の成果を踏えて,係留固定層ー海流利用システムと中空繊維固定層ーポンプ利用システムの完成を目ざし,海洋試験を中心とした検討がなされた。
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