研究課題/領域番号 |
02203215
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
梶内 俊夫 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 助教授 (30016555)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1990年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | セルラ-ゼ / 修飾酵素 / 修飾セルラ-ゼ / 熱安定性 / セルロ-ス / 耐アルカリ性 |
研究概要 |
セルロ-ス分解酵素であるセルラ-ゼを新規合成高分子で化学修飾させることにより、耐熱安定性、耐アルカリ性、耐アルコ-ル性、有機溶媒可溶性などを付加した酵素を得ることができた。酵素はヤクルト社より市販されているセルラ-ゼ・オノズカRー10を主として用い、合成高分子は日本油脂(株)が開発したポリオキシエチレン誘導体と無水マレイン酸との共重合体(商標:マリアリム)で、無水マレイン酸とセルラ-ゼ中のアミノ酸基との反応を利用したものである。酵素中には多くのアミノ基があるが、マリアリムに未反応のアミノ基をTNBS試薬で定量し、酵素のマリアリムによる修飾率を算定した。反応は水溶液中で、pH8〜8.2、温度0℃、緩やかな撹拌下で進行し、酵素・高分子比を変えることにより、修飾率を制御できた。修飾率50%の修飾酵素の比活性は、未修飾酵素の85〜90%を示し、修飾による酵素活性低下は小さいことがわかった。熱安定性に関しては50℃では活性は変わらず、未修飾酵素が90時間で85%に低下するのに比較して優れた特性を示した。また、pH8.5、温度50℃で48時間後では、未修飾酵素は約1/2に活性が低下するが、修飾酵素では活性の低下が殆ど見られなかった。さらにエタノ-ル水溶液でも未修飾酵素に比較して1.2〜1.7倍の活性を示し、アセトン水溶液では、修飾により可溶化させることができた。可溶化した修飾酵素を凍結乾燥した後、再び酵素活性を測定したところ、初期活性以上の活性を得るなど優れた性質を示した。この修飾酵素で瀘紙の糖転化実験を行なったところ、反応30時間で転化率は未修飾酵素を上廻り、90時間では1.3倍以上の転化率を示した。以上のように、実用的見地から種々の反応環境に強い修飾酵素を得るという目標は初年度においてかなりの程度達成できた。
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