研究課題/領域番号 |
02203232
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
乾 智行 京都大学, 工学部, 教授 (60025989)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1990年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 石炭液化油 / ナフサ留分 / ガロシリケ-ト / ミクロ多孔性結晶触媒 / 改質反応 / 芳香族化合物 |
研究概要 |
石油資源が枯渇に向かい、将来必ず原油価格が高騰することが予想される中で、石炭の有効利用技術の開発は、現時点で続けておかなければならない重要な課題である。本研究では、石炭液化油を現在の消費構造で利用できる最終生成物に変換することを最終目標として、ミクロ多孔性結晶触媒による石炭液化油の改質反応を検討した。本年度は研究の初年度であり、新エネルギ-・産業技術総合開発機構(NEDO)が検討しているNEDOL法の1t/dのプロセスサポ-トユニットによって、ワンドアン炭から得られた液化油のナフサ溜分を用いた。主な成果は以下の通りである。(1)ナフサ溜分のGCーMSによる組成分析を行い、これらの溜分中に含まれている100種類以上の化合物を同定した。またこの組成分析をもとに、nーオクタン、および、シクロヘキサンをナフサ溜分のモデル化合物に選び、触媒の検索を行い、ペンタシル型構造を持つガロシリケ-ト触媒がこれらのモデル化合物を芳香族化合物に変換する極めて優れた触媒であることを見い出した。(2)石炭液化油のナフサ溜分を直接ガロシリケ-ト触媒上に流通させると、前述のモデル反応と異なり、ほとんど反応しないことを見い出し、この理由はi)フェノ-ル類よる反応阻害、ii)アミン類による反応阻害、iii)石炭液化油の貯蔵中に生成する高分子化合物等に由来するコ-クの析出、の3原因が複合していることを明らかにした。(3)石炭液化油のナフサ溜分を、酸および塩基で洗浄することにより、石炭液化油を約50%の選択率でBTX溜分に転化させることができることを明らかにした。さらに、石炭液化油をメタノ-ルー水系、あるいは、スルホランなどで洗浄することにより、60%以上の高い選択率でBTX溜分が得られることを明らかにした。また、生成物の詳細な分析により、反応がガロシリケ-トの細孔内で起こっていることを確認した。
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