研究概要 |
本研究の成果は下記の4項目に要約できる。 (1)スキャンライン法による亀裂調査 岩盤内に存在する亀裂は,それと等価な面積と方位を有する円盤状クラックで表せると仮定した。円盤状クラックの直径,幅,方位に関する3つの独立な確率密度関数、および単位体積の岩盤に中心をもつクラック数を表す体積密度とを用いて,3次元亀裂分布を表現する方法を提案し,その評価方法としてスキャンライン法を開発した。これを坑道壁面の亀裂調査に適用し,有用性を示した。 (2)ボアホ-ルテレビによる亀裂調査 ボアホ-ルテレビによる孔壁調査から亀裂群の走向,傾斜,充填鉱物の幅,開口幅,変質の程度などを調査した。解析の結果,亀裂を充填する鉱物の幅の分布は長さの分布と相似的であり、その平均アスペクト比が断層破砕帯のそれとオ-ダ-的に一致していることを見出した。 (3)リニアメント解析による広域調査 ランドサット画像における輝度レベルの急変部(エッジ)が直線的に連続する部分をリニアメントと仮定し,これを自動描出するための画像処理法を検討した。一般に太陽照射方向のリニアメントは抽出されにくいので,この方向のコントラストが強調されるような補正関数を用いた選択的画像強調法を考案したところ,良好な結果が得られた。 (4)花崗岩体のリニアメントと亀裂系 花崗岩体を対象とし,岩盤内部の亀裂と地表のリニアメントとの方位分布を比較した結果,両者には強い相関性があることがわかった。また,長さ分布に関しては,スキャンラインと交差する地質的不連続の数と長さの間にフラクタル的な関係を見出し,これによって能動的地熱抽出に有効な大きさをもつ亀裂数の推測が可能となった。
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