研究課題/領域番号 |
02203248
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
安保 正一 大阪府立大学, 工学部, 教授 (70094498)
|
研究期間 (年度) |
1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1990年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
|
キーワード | 光触媒反応 / 固定化酸化チタン / 薄膜状酸化チタン / 炭酸ガスの光還元 / メタノ-ル合成 / メタン / 光触媒水素化分解反応 / 地球温暖化 |
研究概要 |
炭酸ガスの蓄積による地球温暖化は極めて重要な問題になりつつある。太陽エネルギ-などの汚染のないクリ-ンな供給源に求める努力と平行して、蓄積していく炭酸ガスの有効利用を含めた効果的な除去法を開発することが急務である。本研究は、高活性固定化薄膜状酸化チタンを調製しこれを光触媒として用い、炭酸ガスと水からメタノ-ルやメタンを高効率・高選択性で合成する光触媒系設計の基礎的な指針を得ることを目的として研究を行い、次の3項目に付いて貴重な成果の得ることができた。 (1)担体の表面OH基とTiCl_4の反応によるTiを固定化し、その後H_2O処理、酸素処理をへて固定化薄膜状酸化チタンを調製した。TiーOが一層の固定化酸化チタンでは、唯一種類の配位状態のTi^<4+>イオン(四配位構造)が存在していることが解った。TiーO層が増加すると、配位状態の異なる種々のTiイオンが現れる。固定化酸化チタン触媒のホトルミネッセンス(発光)は300nm付近に見られ、77KでTiーO結合の振動に基づく微細構造を呈する。光還元で生成するTi^<3+>イオンのESR測定、および触媒の発光や吸収スペクトルの検討から、高分散固定化薄膜状酸化チタンの励起状態は[Ti^<3+>ーO^-]^<*3>の電荷移動励起三重項状態と考えられることが解った。 (2)高活性固定化薄膜状酸化チタンを光触媒として、水の分解過程を含む反応である、不飽和炭化水素の水による水素化分解反応を検討した。光触媒水素化分解反応の収率と固定化チタン触媒の発光スペクトルの強度の間には良い直線関係が見られ、光触媒水素化分解反応が固定化酸化チタンの[Ti^<3+>ーO^-]^<*3>電荷移動励起三重項状態を経由する反応であることが解った。水素化分解反応における固定化酸化チタンの活性は、通常の粉末酸化チタン光触媒の数百倍も高いことを明らかにした。 (3)高活固定化酸化チタンを光触媒として炭酸ガスの水による還元反応を検討した。炭酸ガスと水の存在下で固定化酸化チタンを光照射すると、炭酸ガスが還元されメタンが生成することが解った。メタン以外にもC_2〜C_4の炭化水素と僅かなアセトン、メタノ-ルの生成が見られた。また、水素や酸素の生成も観測できる。固定化酸化チタンのTiーOー層を増加して行くにつれて、光触媒反応としての炭酸ガス還元収率がどのように変化するかを検討した。高分散状態からTiーOー層を増加させると光触媒反応としての炭酸ガスの水による還元反応の収率は低下することが解った。これらの成果を踏まえ、現在さらなる検討を行っている。
|