研究概要 |
本研究の目的はノズルからジェット状で送入し局所的に高温に達せしめ、装置全体のガス化効率を高めるとともに、凝集灰を生じさせるタイプの流動層ガス化炉を想定したうえで,装置全体のガス化反応の進行を把握するため酸素(空気)吹き込み口近傍の局所的現象を実験的に解明し,反応・熱効率上昇に必要な因子の抽出と制御法を確立することにある。本年度は種々の形状のガス送入口を用いて,層内の温度分布、生成ガス組成およびそれらの経時変化を測定し,生成ガス組成に及ぼすガス吹き込み法の影響を検討した。さらに、層内の局所的な反応の進行を解析するための基礎的検討を行なった。 内径43mmの小型流動層に石炭チャ-を充填し、バッチ式反応器内におけるガス生成量,酸素送入部における局所的温度分布およびその時間的変化を測定した。平板型のガス送入口形状を用いた場合と比べ、コ-ン型分散板から水蒸気を送入し,分散板中央に設けたノズルより酸素を送入した場合には一酸化炭素に富む良好な組成が得られることがわかった。 定常状態における炉内の局所的ガス化剤,生成ガス濃度を実測するため、石炭をアルミナで、ガス化剤を不活性ガスで希釈し,トレ-サ-としてヘリウムを炉内に送入することにより,ガス化剤,生成ガスの移動現象を解析した。その結果ジェット-アニュラス間のガス交換の様子が明らかとなった。ジェット、アニュラスにおけるガス濃度の違いは顕著であり、層内の局所的な反応の進行の解析が可能であることが示された。またアニュラス部における層高方向のガス化反応の進行も明らかであった。特にノズルより送入された酸素は主にジェット-アニュラスの境界付近にて石炭し,一酸化炭素を生成することが明らかとなった。
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