研究概要 |
本研究では,情報受容・変換およびエネルギ-変換の2種類の生体内分子システムの分子構築の工学的実現を目的として,次の4課題を推進し,それぞれについて新しい生体分子機能材料が創製された。 相澤らは,活性可変酵素バイブリッドの合成および機能制御を目的として,導電性高分子を分子インタ-フェイスとする導電性酵素膜を合成した。さらにカルシウム結合タンパク質であるカルモジュリンとホスフオジエステラ-ゼ(PDE)とのハイブリッドタンパク質を合成した。導電性酵素膜については,酵素活性を電気制御できることが可能となり,カルモジュリンとPDEハイブリッドでは,酵素活性のカルシウム制御が可能となった。 上田らは,細胞における情報受容・変換と細胞内イオン調節機構の解明を目的として,比蛍光画像法による培養正常ヒト表皮角化細胞における細胞内カルシウム測定法を開発し,エピネフリンなどのホルモンにより細胞内カルシウムが変動することを明らかにした。さらに,無細胞系での新しい化学振動を見出した。 宍戸らは,光機能性非天然アミノ酸ポリペプチドの合成を目的とし,光で形を変えるアゾベンゼン基を持つ非天然アミノ酸を含むポリペプチドに対するモノクロナル抗体を作製した。LーPーフェニルアゾフェニルアラニンをBSAに結合し,モノクロナル抗体を収得するとともに,この抗原抗体反応を光によって制御できることが初めて示された。 樋口らは,ミトコンドリアH^+ーATP合成酵素の構造解析を目的とし,酵素の高純度精製を行うとともに,サブユニットの部分的アミノ酸配列を決定した。ついで,これらのアミノ酸配列に対応するプロ-ブDNAを作製し,サブユニットのcDNAのクロ-ニングを行い,Foサブユニットbのインポ-トプレカ-サの配列を明らかにした。
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