研究概要 |
1.大環状ポリアミン及びポリアミノシクロデキストリンの長鎖アルキル型誘導体のLB膜をグラシ-カ-ボン電極上に直接累積することにより,一連のアニオン応答性センサ-(Sensor 1〜3)を作製した。種々の有機アニオンとのホスト-ゲスト錯体形成に伴うマ-カ-イオン透過性の変化をサイクリックボルタンメトリ-により調ベたところ,フタル酸の位置異性体に関して、Sensor 1,2はホスト-ゲスト間の静電的相互作用を反映した選択性(オルト>メタ>パラ)を示したのに対して,Sensor 3はシクロデキストリンの内孔へのゲスト取り込みによる形状識別効果を反映した選択性(メタ>パラ>オルト)を示した。 2.水溶液上に展開した長鎖アルキル型シクロデキストリンの圧縮単分子膜について,ホスト-ゲスト錯体形成に伴うマ-カ-物質の透過性変化を,水槽中での直接的サイクリックボルタンメトリ-により調べた。その結果,ゲストとしてシクロヘキサノ-ルが下層水溶液中に存在すると,ゲストによる直接的なチャンネルブロックにより膜透過性の制御が起こることが示された。 3.ラット脳より抽出,精製したL__=ーグルタミン酸受容体イオンチャンネル蛋白を,単分子膜貼り合わせ法により調製した平面脂質二分子膜に埋め込むことにより,新しいタイプのシグナル増幅型センサ-(イオンチャンネルセンサ-)を開発し,シグナル増幅能を評価した。 4.モルモット小腸より,Na^+/D__=ーグルコ-ス共輸送蛋白を抽出,精製した。これを平面脂質二分子膜に包埋することにより能動輸送型D__=ーグルコ-スセンサ-を開発した。また,能動輸送におけるエネルギ-供給の新形態を提案した。具体的には豚腎臓から抽出,精製したNa^+,K^+ーATPaseポンプ(一次性能動輸送)によりD__=ーグルコ-スの能動輸送(二次性能動輸送)を駆動できることを実証した。
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