研究課題/領域番号 |
02205002
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 皓 北海道大学, 理学部, 助教授 (00000860)
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研究分担者 |
野呂 武司 北海道大学, 理学部, 講師 (50125340)
佐々木 不可止 北海道大学, 理学部, 教授 (90000794)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1990年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 遷移金属錯イオン / 水酸化銅 / 水酸化クロ-ム / 励起状態 / dーd遷移 / 電荷移動 |
研究概要 |
二核錯体、酢酸銅、酢酸クロムの励起状態の電子構造を研究する前に水酸化銅(Cu(H_2O)_6^<++>)、水酸化クロム(Cr(H_2O)_6^<++>)をまず取り上げた。(Cu(H_2O)_6^<++>)、(Cr(H_2O)_6^<++>)のd→d遷移励起状態と電荷移動励起状態をバランス良く記述することを目的としてd^n及びd^<n+1>(n=9:Cu、n=4:Cr)の状態のエネルギ-差を近似良く与える基底関数を検討した。MIDI4基底関数系のd関数を3成分に分割し、更に拡がったd関数(軌道指数0.089(Cr)、0.16(Cu))を加える事が特にd^<n+1>の状態に対して重要であり、エネルギ-差をより近似良く計算するのに大切であった。そこでMIDI4基底関数系(4Sは2分割、3dは3分割)に4pとして拡がったp関数、更に上記の拡がったd関数を加えた関数系を用いてCu(H_2O)_6^<++>)、Cr(H_2O)_6^<++>の基底状態、dーd遷移による励起状態及び電荷移動による励起状態の全エネルギ-、波動関数をSCF,1・2電子励起CI法により求めた。 Cu(H_2O)_6^<++>とCr(H_2O)_6^<++>は各々1.6eV,1.7eVを中心に幅広いdーd遷移による吸収が観測される。計算によると、これらに対応する励起状態への励起エネルギ-は各々1.3eV、1.6eVとなり、実験値とのよい一致が得られた。エネルギ-的に低い電荷移動(CT)励起状態は、Cu(H_2O)_6^<++>では配位子(L)から金属(M)への遷移(LMCT)で表されるが、Cr(H_2O)_6^<++>ではMLCTによって表現される状態である。これらの状態ではdーd遷移の状態に比べて多電子励起の効果を考慮する事が重要である事が分かったが、励起エネルギ-は実験値に比べいずれも約3eV高くなってしまった。実験での試料は溶液中にあるが、配位子の電荷の変化するこの状態では溶液中にある効果を考慮することが重要と考えられるので、この効果を取り込む方法を検討中である。
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