研究課題/領域番号 |
02205013
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
折原 勝男 山形大学, 工学部, 助教授 (90007021)
|
研究期間 (年度) |
1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1990年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
|
キーワード | 超格子 / 有機分子 / 金属 / 金属酸物 / 原子・分子オ-ダ- / 通常型真空蒸着装置 / LB膜 / 擬超格子 |
研究概要 |
有機化合物と金属からなる超格子は未だかつて人類が手にしたことのない構造体であるが、「量子工学」を切り開いた無機半導体の超格子と較べても、勝るとも劣らない高度で多様な物性と機能の発現が期待される。本研究は構造体の創製を、将来の普及のしやすさを考慮して、あえて通常の高真空蒸着装置と手製のLB装置との併用によって実現することを目的としている。 LB単分子膜をガラス上に作り、この上にAlを約50A真空蒸着した(I)。面方向の電気伝導率を乾燥空気中で測定した。その結果、LB膜を使わず、直接ガラスに蒸着した場合(II)に較べて約10^7倍も高いことが分かった。ガラス板をカ-ボン支持膜に替えた試料でTEM観察したところ、IIではAlはクラスタ-化しており、そのサイズと間隔が大きいのに対し、Iでは20A前後と小さくかつ二次元的に緻密に広がっていることが分かった。伝導率の大幅な差が理解できたとともに、ある種のLB膜が蒸着金属の“二次元的分散効果"を示すという、目的の構造物を創製する上で、極めて有難い発見に結び付いた。蒸着Alの表面は酸化し、絶縁性のはずであるのにIの伝導率はバルクの金属Alの伝導率の1/200にも達している。この結果から未酸化の金属Al層の存在を推定し、その厚さは約0.3Aと求められた。しかし、これは1原子層にも満たず、網目状に連結されたAl原子層を考え、粗いながらも、酸化物/金属/有機分子からなる“擬超格子"と呼べる構造体を認めるに至った。これらの試料について、早くも、珍して物性を見いだすに至り、有機化合物と金属、あるいは無機化合物を原子、分子オ-ダ-で配列した構造物が新しい物質工学を展開し得るという当初の予想を実証する形となった。現在さらにより完全な超格子構造体を目指して、研究を続けている。
|