研究課題/領域番号 |
02205016
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
舛本 泰章 筑波大学, 物理学系, 助教授 (60111580)
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研究期間 (年度) |
1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1990年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | IIーVI族半導体 / 熱い電子系 / CdSe / ZnSeーZnS歪み超格子 / ラマン散乱 / 励起子 / 静水圧 / 二軸性歪み |
研究概要 |
〈CdSe薄膜における熱い電子系の超高速バンド内緩和〉 半導体中の熱い電子系の研究は応用上では、電子デバイスの高速特性にかかわるため、重要な問題であり、基礎的にも電子系の統計分布やその緩和過程を直接観測できることから非常に興味深い。そこで、我々は、バンド端近傍から十分高エネルギ-側を励起したときの熱い電子系の研究を行なった。CdSe試料はホットウォ-ルエピタクシ-法により雲母基板上に成長させ、膜厚は0.65μmのものを用いた。励起エネルギ-は2.12eVで、パルス幅は260fsで、白色光を用いたポンプ・プロ-ブ法による時間分解吸収スペクトルを測定した。それによると光励起中ではおよそ2.0eV付近に熱い電子系の非平衡分布が観測された。その後、非平衡分布は熱平衡分布に変わって行き、平衡状態を保ったまま、ク-リングして行く。非平衡状態から、平衡過程に移っていく時間は20〜40fsである事が明らかにされた。 〈ZnSeーZnS歪み超格子の光学的評価〉 減圧MOCVD法により作成されたZnseーZnS歪み超格子の歪みとバンドオフセットを求める目的で励起子の励起スペクトル測定し、ZnS層の光吸収による構造を観測した。この構造により、歪みのZnSのバンドギャップへの影響が明らかになった。併せて、ラマン散乱により、歪みの評価を行なった。ZnSe、ZnSのLOフォノンエネルギ-はそれぞれバルクの値からかなりシフトしており、歪みの評価が可能である。歪みの評価とバンド構造の系統的な研究から、ZnSeーZns歪み超格子のセルフコンシステントな理解が得られた。次にZnSeーZnS歪み超格子の成長方向とそれに垂直方向の二つのレ-ザ-光入射方向に対し、ラマン散乱を測定し、二軸性歪みを直接表すラマンシフトを観測した。更にZnSeーZnS歪み超格子静水圧をかけると約31kbarでタイプI型からタイプII型への変化が起こる事を発光強度の減少により、初めて観測した。
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