研究課題/領域番号 |
02205079
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山口 兆 北海道大学, 理学部, 教授 (80029537)
|
研究期間 (年度) |
1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1990年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | 強い電子相関系 / 非経験的分子軌道計算 / 新物質相 / 結晶型有機強磁性体 / CASSCF計算 / 高温超伝導酸化物 |
研究概要 |
結晶型有機強磁性体の分子設計へのアプロ-チの1つとして、電荷移動錯体の磁性化のアイデアを新しく提案し、その可能性を理論的に検討した。まず電子供与体(D)にラジカル置換基(R^^・)を導入した、電子供与性ラジカル(DーR^^・)を考え、それにホ-ルを導入してD^+_・ーR^^・を発生させた場合にホ-ルスピン( ^+_・↑)とラジカルスピンとの分子内スピン間有効交換積分(Jab)の符号と大きさをab initio APUMP法で計算した。DとしてアミノベンゼンにR^^・基を導入したものおよびTTF型およびDTPY型化合物にR^^・基を導入したものを例にとると、π電子系のスピン分極の大きさと、R^^・とπ電子系の共役の大きさによって、Jabの符号は正、負の値を取り得る場合があることが判明した。次にこれらのD^+_・ーR^^・とTCNEラニオンラジカル(TCNE^ー)とのCT錯体をAPUMP法により検討し、分子積層様式の相違による分子間スピン有効交換相互作用(Jac)を求めた。JacはSOMOーSOMO間の軌道相互作用(Jac(00))項が大きい時には負であるが、Jac(00)が小さくかつ分子間スピン分極効果(RKKYに類似の機構)の大きい場合には正であることが判明し、我々が従来より提案している拡張マッコンネルモデルが有効であることを示した。 次に、強い電子相関系に属すると考えられているいわゆる高温超伝導酸化物の電子状態解明の研究の継続として、本年度はCumOn(m=1,2)クラスタ-のCASSCF計算を実行し、銅イオンおよび酸素アニオン上に導入されたホ-ルの分布およびその対称性、低い電子励起エネルギ-について検討した。さらに、CuO結合と同様に遷移金属のdーレベルとアニオンのPーレベルが接近している系として、FeS結合を持つ金属錯体類におけるスピンおよび電荷分布について検討した。
|